そして食事の後、いよいよダイヤモンドの選別が始まる。ベンゲラ・ダイヤモンド社の専門家とともに、未研磨のダイヤモンド原石を一つひとつ手に取り、その輝きを確かめる。自らが海底から引き揚げた石の中から、最も心に響く一粒を選ぶ。その瞬間の高揚感は、いかなる宝飾店での購入体験とも比較にならないだろう。

選ばれたダイヤモンドは、ステレンボッシュのスタジオに送られる。そこで熟練の職人が研磨を施し、カット、ポリッシュを経て、輝くジュエリーへと姿を変える。デザインから完成まで、わずか3営業日。世界でたった一つ、自らが海底から見つけ出したダイヤモンドが、永遠の輝きを放つリングやネックレスとなるのである。

夕方、プライベートジェットでケープタウンに戻る。エラーマン・ハウスでは、シグネチャー体験「ドン・ペリニヨン・エクスペリエンス」が待っている。夕陽が大西洋に沈む中、ヴィンテージのドン・ペリニヨンを開け、エグゼクティブシェフが用意した弁当箱スタイルのディナーを堪能する。

一連の体験にかかる料金は、宿泊費、ポート・ノロスまでの往復交通費、ドン・ペリニヨン・エクスペリエンスを含む飲食費、あわせて1万6125ドル/人、日本円にして250万円ほど。これに、採掘したダイヤモンド、ジュエリーのデザイン、製作にかかる費用が上乗せされる形だ。

この体験のもう一つの美しさは、その「倫理性」にある。

従来の鉱山採掘に伴う児童労働や環境破壊といった社会問題とは無縁の、まさにエシカルなダイヤモンド。労働環境も配慮され、海が穏やかな日にのみ船を出すという自然との調和。「ブラッド・ダイヤモンド」の影を払拭した、新時代の宝石である。

贅沢=高額な物を所有することではない

バレンタインデー、大切な人に、デパ地下で1箱3000円、あるいは奮発して2万円のチョコレートを贈る。それが悪いとは言わない。愛を伝えるジェスチャーとして、一定の機能を果たしていることは確かだろう。

だが、もし本当に大切な人に、本当の愛を伝えたいと思うなら、「何を買うか」ではなく「何を体験するか」を考えてみてはいかがだろうか。

カリブ海の農園でカカオの木に触れ、自らの手でチョコレートを作る。アフリカの海底に潜り、数千年の時を経たダイヤモンドを自ら見つけ出し、世界で一つだけのジュエリーに仕立てる。

それは確かに、誰もが簡単に手が届くものではないかもしれない。しかし重要なのは、金額の大小ではない。「買う」という受動的な行為から、「体験する」という能動的な行為への転換である。

近所のチョコレート工房で、二人でトリュフを手作りしてみる。それだけでも、デパ地下で高級チョコを「買う」こととは、まったく異なる意味を持つはずだ。

富裕層が示しているのは、「贅沢とは高額な物を所有することではなく、かけがえのない体験を共有することだ」という真実である。その本質を理解したとき、バレンタインデーの意味は一変する。

デパートの行列を横目に、「本当の贈り物とは何か」を、もう一度考えてみてほしい。

物は時とともに色褪せる。しかし、体験の記憶は永遠に輝き続ける。世界で一つだけのダイヤモンドが放つ光のように。

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