海底に潜り、自らダイヤを採取する

さて、ここまでの話はあくまでチョコレートの世界にとどまっていた。

もう一歩踏み込んで、「バレンタイン=チョコレート」という枠組みを超えて富裕層の世界を覗いてみると、彼らの贈り物に「ダイヤモンド」は欠かせない。

ダイヤモンド
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そして、世界で一つしかない「唯一無二のダイヤモンド」を、自らの手で海底から採取し、研磨し、ジュエリーに仕立てる――そんな体験が、南アフリカにある。

南アフリカ西海岸を流れる「ベンゲラ海流」。

喜望峰付近から北上し、アンゴラ沖まで達するこの寒流は、アフリカの小川や河口から流れ出る水を運び、海底に大量のダイヤモンドを堆積させている。鉱山で採掘される「第一のダイヤ」でも、人工合成の「第二のダイヤ」でもない。川に流され、数千年の間に雨や風の浸食を受け、海にたどり着いた「第三のダイヤ」――オーシャン・フロア・ダイヤモンドと呼ばれる、極めて希少な存在である。

この海底ダイヤモンドを自ら採取できる「ダイヤモンド・サファリ」を提供しているのが、ベンゲラ・ダイヤモンド社である。

プライベートジェットから始まる1日

体験の1日を追ってみよう。

早朝7時、ケープタウンの5つ星ブティックホテル「エラーマン・ハウス」を専用リムジンで出発。ケープタウン国際空港からプライベートジェット(ピラタスPC12またはキングエア200)に搭乗し、大西洋の海岸線に沿って北上する。

空港で離陸準備の整ったプライベートジェット
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約75分のフライトで到着するのは、ミネラル豊富なポートノロスの海岸だ。

海を見下ろす豪華なビーチヴィラで、プライベートシェフが用意する朝食をゆっくりと味わった後、ダイブマスターからブリーフィングを受ける。そしていよいよ、ダイヤモンド・ダイビングの時間だ。

必要なのは、PADIオープンウォーター1の資格と、冒険心だけである。比較的浅い水深でのダイビングのため、経験が浅くても参加できる。すべてのダイビング機材は用意されており、安全で快適な体験が保証されている。

海底では、専門のダイバーたちが巨大な吸引パイプを操作し、海底の砂利を水面に汲み上げる。分類器で大きな石と砂利を分離し、さらに振動パンシステムで重い石を選別していく。ガーネット、オリビン、そしてダイヤモンド――重力の法則に従って、宝石たちがその姿を現す瞬間を、自らの目で見届けることができるのだ。

午後はビーチヴィラのテラスで、南アフリカならではのシーフードランチを楽しむ。新鮮な釣りたての魚、あるいは西海岸産のロブスター。エラーマン・ハウスから同行したプライベートシェフが、極上のグルメランチを準備し、受賞歴のある南アフリカワインとのペアリングを提案してくれる。