有料老人ホーム事業は、たび重なる規制緩和によって拡大するニーズを順調に取り込んできた。しかしながら、ここでも入居者の重篤化割合が高まれば、介護報酬への依存が高まる可能性がある。大手2社やツクイなど実績を積んできた企業、メデカジャパンのように複合的な介護サービスを組み合わせることで切れ目ない顧客確保を図れる仕組みなどがなければ、難しくなるかもしれない。
政府は介護保険財政の安定化に向け、重篤者を対象に生活支援と医療・看護を包括化したサービスへの重点化を図ろうとしている。このあたりは、早くから地域医療との連携ノウハウを確立してきたセコムなどが強みを発揮しそうだ。大手ドラッグストアが、重篤者の服薬管理ニーズと有料ホーム等の住宅提供をミックスさせた事業に参入する動きもある。
その一方、軽度者への家事援助や介護予防が給付から外れてくる兆候も見られる。ニーズの拡大は確実であるため、今後、保険外自費負担ができる富裕層を狙った家事援助代行企業と介護予防を担うフィットネス企業の提携なども考えられよう。
さらに、少子化・晩婚化の中で企業社員の介護負担が社会問題化しつつあり、人事労務からのアウトソーシングによって従業員の介護支援サービスを手がける事業なども有望視されている。