親の普段の様子を把握し伝えることが大切

要介護認定のながれ
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要介護認定のながれ

親が病気や認知症などで介護が必要になったら、真っ先に利用したいのが介護保険だ。訪問介護やデイサービスなどの介護サービスが1割の自己負担で利用できる。ただ、介護保険は医療保険のように窓口に保険証を提示すれば利用できるものではない。市町村に要介護認定の申請をして、「要支援1、2」、または「要介護1~5」のいずれかに認定されなければならない。

要介護認定とは、介護の手間を測る全国共通の基準(ものさし)だ。その判定によって、介護保険が利用できるのか、さらにはどの認定ランクに位置づけられるのかが決まる。認定ランクが高くなるほど介護の必要性が高く、使えるサービス量も増える。「要介護1」以上であれば、特別養護老人ホームなど介護施設への入所も可能となっている。要介護認定の受け方次第ではサービスが使えなかったり、利用できるサービス量が減る場合もある。

そして、2009年4月から要介護認定の調査基準が変更された。先頃、厚生労働省が新認定による結果を検証したところ、従来よりも軽度に認定される人の割合が高くなることが明らかとなっている。家族も上手な認定の受け方を押さえておくべきだろう。

まず、要介護認定の流れはこうだ。市町村に申請すると調査員が自宅や病院などにやってきて、74の質問項目にしたがい心身の状態を調べる。本人・家族への聞き取りや様子の観察によって判断する。後日、それらをコンピュータにかけ、「要介護認定等基準時間」を算出(一次判定)。これは過去の調査データから、同じような心身の状態の人に介護の手間がどの程度かかったかを統計的に導き出したものだ。

ただ、データは介護施設で集められ必ずしも在宅介護や個々人の状態と一致するとは限らない。そこで訪問調査時に家族から介護にかかる手間を具体的に聞き取り、それを調査員が「特記事項」として記入することになっている。その内容とかかりつけ医が書いた「主治医意見書」により、最終的な認定ランクが決定される(二次判定)。

訪問調査を受ける際に大切なのは、家族が親の普段の様子や日頃の介護の手間をいかに調査員に伝えるかだ。「できること」よりも、「できないこと」を把握してもらうよう心がけたい。介護の手間を説明する場合でも、どんな介助がどの程度発生しているのか、具体的な内容と頻度を伝えることが肝心だ。それらは「特記事項」として記入され、一次判定の結果を補正する役割を果たすが、新基準ではその重要度が増している。伝え方次第で、認定ランクに違いが出ることを認識してコミュニケーションをとりたい。

親が認知症の場合は、日頃の様子を記録しておき、それを見せるか、メモを渡してもよい。

主治医意見書も認定結果に影響を与えるので、普段から親の状態を把握している医師に書いてもらうのが望ましい。親が認知症であれば、専門医にかかっておくのもよいだろう。

新認定による軽度化を是正するため、調査の判断基準が今秋にも見直される予定だが、それまでの間は更新申請者を対象に、希望があれば以前の認定ランクを選ぶことができる経過措置を実施している(8月現在)。すでに認定を受けている場合でも、結果に納得できない場合は再審査の申し立てや、要介護度の変更申請(区分変更申請)が可能なので、ケアマネジャーに相談したうえで検討するとよいだろう。

※すべて雑誌掲載当時