補償の限度額は合算することが可能
海外旅行に行く際、海外旅行傷害保険に入る人も多いだろう。だが、クレジットカードの選び方次第では、その保険料が節約できる。多くのクレジットカードには、海外旅行傷害保険が付帯されているからだ。補償内容は、「傷害死亡・後遺障害」「傷害治療費用」「疾病治療費用」「賠償責任」「携行品損害」「救援者費用」で、それぞれ補償の限度額が設定されている。ただし、海外で病気やけがの治療を受けると高額の費用がかかることもある。付帯保険は「傷害治療費用」「疾病治療費用」の限度額を200万円程度に設定しているケースも多く、十分ではない場合も考えられる。
ところが、この付帯保険には“ウラ技”があるのだ。クレジットカードに詳しいジャーナリストの岩田昭男氏は、「クレジットカードを複数枚持っている場合、『傷害治療費用』『疾病治療費用』『賠償責任』『携行品損害』『救援者費用』は、各カードの限度額を合算した額まで補償される」と話す。つまり、補償の手厚いカードを複数枚持てば、損保会社の海外旅行保険へ入らなくとも済むのだ。
「ただし、補償を受けるには、自分で各カード会社に請求手続きをする必要がある。カードによっては旅行代金を決済した場合のみ補償が受けられるものもあるので注意すべき。なお、『傷害死亡・後遺障害』は補償限度額がもっとも高いカード会社のものが適用される」(岩田氏)
なぜ年会費無料のカードでも保険が付帯されているのか。業界の歴史に詳しい三菱UFJニコス経営企画本部広報部上席調査役プロデューサーの風間眞一氏は「当社が1970年代後半のクレジットカードの国際化に乗り遅れたことが関係している」と説明する。
「63年に日本で初の国際クレジットカードが発行されましたが、当時は外貨統制が厳しく、あらかじめ割り当てられた外貨を銀行に預け、その範囲で利用する『外貨預託方式』のものでした」(風間氏)