心を病む人ほど「仕事は楽しんではいけない」

「仕事は楽しんではいけない」と思っている人がいます。僕は、引きこもりの人たちとの交流で、そういう考え方があることに気づきました。

日本人には昔から、「仕事は楽しむもの」ではなく、「つらいもの」「つらくて当然」という観念があるような気がします。仕事はお金を受け取るものだから、楽しむとか、楽しんでやるという性質のものではないと考える、楽しむという発想に、どこかうしろめたさがつきまとうのです。

そういう観念をもっている(そういう観念にしばられている)人は現在でもいます。

けれども、そういう観念にとらわれ過ぎているのは悲観的です。そして、そういう親に育てられると、子供も悲観的な考え方が身につきます。

「仕事はつらくて当然」という観念にしばられていると、いくら好きな仕事についても、義務的に働き、「忙しい、忙しい」「○○しなくちゃ」となり、やがて好きだった仕事にもストレスを感じます。

「仕事は楽しんでするもの」とか、「仕事は楽しんでいい」などと考え方を変えてみましょう。それだけで、心が楽になります。まずは、今の仕事にやり甲斐を見つけてはいかがでしょう。

やり甲斐が見つからないという人は、ゲーム性やおかしみを見つけて、楽しんではいかがでしょうか。それも見つからないという人は、プライベートや趣味に生き甲斐を見つけてはいかがでしょうか。楽しみや喜びが生きるエネルギーとなります。

「原因探し」が回復の第一歩

うつになった患者さんのなかには、何がストレスになっているのか、自分でわからない人がいます。

僕はうつの患者さんすべてに対して、まず、何がうつの原因になっているかについて考えてもらいます。自分を責めずに、他人を責めずに、考えてもらいます。具体的には、今の自分がつらいと思っていることや、気分が落ち込んだときに何を考えていたかを書き出してもらいます。

文章ではなく、箇条書き風に、ひとつだけ書き出してもらいます。たとえば、

・将来に漠然と不安がある
・お父さんといっしょにいると、イライラする
・上司との人間関係が苦しい
・会社をリストラされるんじゃないかと思ってしまう

このように紙に書き出したあと、これらの言葉を、自分が楽になる言葉に書き換えていくのです。こうすることで、ネガティブな思考からポジティブな思考へ転換できます。メンタルセラピーでは、こちら(メンタルセラピストの側)が答えを与えるのではなく、患者さん自身が答えを見つけられるようにお手伝いします。

何がうつの原因になっているかを考え、原因になっている事柄を自分で認識することが、うつからの脱却の第一歩です。