虐待を受けた子どもの治療の難しさ

新井医師と私は、実はクリニック開院前に出会っている。2011年に、愛知県が運営する小児の総合病院である「あいち小児保健医療総合センター」の取材でお世話になって以来の関係だ。

当時、新井医師は「あいち小児」の心療科に勤務していた。私がそこで行った取材はのちに、虐待が子どもにどれだけ深刻なダメージをもたらすのかを主題にした『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社、2013年)につながるものとなった。

新井医師が醸す、優しさが滲み出る穏やかな人柄は当時と全く変わらない。困ったのは、とにかく早口だということ。私はいつも、必死についていく。それは今も、変わらない。