内申点が「下がる生徒」と「上がる生徒」の違い
「音楽」「美術」「保健体育」「技術家庭」の実技4教科で、生徒にとって鬼門となりやすいのは実技を伴う美術と体育です。描き方を習うだけではカバーできない画力や、教わっただけでは再現できない体の使い方があるからです。
つい最近、ある生徒が美術の授業で「自分の左手を描く」という課題に取り組んでいました。彼は先生から構図の取り方や影のつけ方などの「理論」は教わっていました。しかし、「頭では分かっているのに、自分の手がどうしても思い通りの線を描いてくれない」と嘆いていました。ここには、一朝一夕では埋まらない「画力」という技術の壁が存在します。
体育も同様です。バレーボールの授業で、レシーブの構えや膝の使い方を知識として教わっていても、実際に飛んでくるボールに対して瞬時に体を反応させることができない生徒もいます。その生徒は「テストでは良い点が取れているのに、自分だけうまくレシーブを上げられないから内申5は期待できない」と嘆いていました。
このように、実技においては得手不得手があるものですが、不得手だからといって諦める必要はありません。授業態度や作品の制作過程なども内申点に大きく影響するからです。
今回は、実技4科目の各科目で、内申点が「5~10点下がる生徒」と「5~10点上がる生徒」の違いについて具体的に考えてみましょう。
詳細は、弊著『中学校の実技4科が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)に詳しいので、参考にしてください。
習った内容や条件に沿っているか
【音楽】「歌のうまさ」以上に「聴く力・伝える力」
多くの生徒が「歌が下手だから評価が低い」と思い込んでいますが、実は「鑑賞」の授業で損をしているケースが目立ちます。
下がる生徒:歌唱テストで恥ずかしがって十分な声量で歌えない生徒も少なくないようです。また、鑑賞の時間にただ曲を聴いているだけの生徒もいます。また意外と国語的な表現力が影響することもあります。たとえば、曲の感想を書いても「きれいな曲だった」「感動した」といった抽象的な言葉しか書けないと、思考力・表現力の観点で評価されづらいです。
上がる生徒:歌唱では、大きく口を開けて指揮者を見ている生徒です。そして鑑賞では、「長調から短調への転調が、主人公の悲しみを表していると感じた」など、授業で習った専門用語(強弱、テンポ、構成など)を使って「授業の内容を理解して聴いている」というアピールが重要です。
【美術】「画力」をカバーする「指示遂行力」
先述した通り、画力には個人差がありますが、美術では「上手下手」だけでなく「条件を満たしているか」も重要です。
下がる生徒:「枠いっぱいに着色する」「レタリングの明朝体の特徴を捉える」といった先生の指示を無視して、自己流で取り組む生徒です。また、片付けの時間になってもダラダラと作業を続けたり、筆を洗うのが雑だったりすると、主体的な態度の評価が下がります。
上がる生徒:たとえ絵が苦手でも、「枠からはみ出さない」「塗り残しを作らない」といった丁寧さで勝負する生徒です。また、授業の振り返りシート(作品カード)に「なぜこの色を選んだのか」「どこを工夫したのか」という制作の意図を明確に言語化できる生徒は、技能の拙さを思考・判断の評価でカバーすることができます。

