若い頃はフリーター、縁故入社の会社もすぐ辞めた。そんな柳井氏を育てたのは「仕事」だった──。日本一注目される経営者が語る「希望の人生論」とは。

大切なのは作業を割り当てること

『柳井正の希望を持とう』
――(『柳井正の希望を持とう』のなかで)私がいちばん感銘を受けたのはユニクロの商品についての個所です。私も含めて、世の中のほとんどは、ユニクロの商品はファストファッションの範疇にあるものと勘違いしていました。ですが、柳井さんが考えたユニクロの商品とは、「洋服業界の常識」を打ち破ったものなんですね。

【柳井】少なくとも、ユニクロの商品はファストファッションとはまったく違うものだとわかってもらえたのではないでしょうか。

ZARA、H&M、フォーエバー21の各社はファストファッションの代表です。彼らが売っているのは「流行」という情報。先んじて流行する服をいかに作るか、作ったものをいかに早く消費者に届けるかを計画し、緻密に進めていく。そのためのシステムを持っています。毎シーズン、流行の商品を揃え、売り切っていく。売り切ったら、そこでおしまい。そういったシステムは私たちは持っていません。真似しても、簡単にできるものではない。

一方、私たちが売っている商品はベーシックカジュアルです。流行に左右されない美的な服のことで、お客様が選んで、好きなように着こなすことができる。そして、そういった服ならば国境も問わないし、年齢にも左右されることはない。あらゆる人が買うことができる。私たちが対象にしているマーケットは流行の服よりもはるかに大きなものです。