結局、投資する銘柄をどう決めるのが賢明なのか。個人資産24兆円のウォーレン・バフェット氏が80年以上にわたる投資人生で培ってきた「成功の原則」を氏が執筆した膨大な著作からジャーナリストの桑原晃弥さんが読み解いた――。

※本稿は、桑原晃弥『バフェットさんが伝えたい お金を増やすために大切な10のこと』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

ウォーレン・バフェット氏
SelectUSA2015投資サミットでのウォーレン・バフェット氏(写真=米国国際貿易局/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

家電を買うときぐらい、ちゃんと調べてみよう

「この間出席したパーティーで小耳にはさんだのでね、200株買ってみたんだ」という話をよく聞きますが、小口の投資はたいした理由もなく行われてしまう傾向があるように思います――『ウォーレン・バフェット 自分を信じるものが勝つ!』60頁
なぜ家は慎重に選ぶのに、株は数分で決めるのか

「株式投資」と聞いただけで「危ないんじゃないか」と腰が引ける人がいます。知り合いがかつて投資で大失敗したからという人もあれば、何となく怖そうでという人もいます。

たしかに投資にはリスクがあります。銀行預金のように元金が保証されることはありませんし、株価が急落すれば「自分のお金」がみるみる減っていきます。そんな経験をすれば「ああ、株なんかやるんじゃなかった」と後悔するのも無理はありません。

ここで考えてみたいのは、株式投資で失敗した人が「その企業についてどれだけ知っていたのか」「株式投資のリスクをどれだけ理解していたのか」ということです。すべてを理解したうえでの失敗なら仕方ありませんが、よく知らないまま失敗したのだとしたら、それは投資家自身の問題かもしれません。ピーター・リンチはこんな言葉を残しています。

「家を買うためには何カ月もかけるのに、えてして株式投資は数分間で決めてしまう。ほとんどの人は、株式投資より電子レンジを買うことのほうに、より多くの時間をかけるのである」

たとえば家を買うとき、不動産会社に勧められたからという理由だけで即決する人はいません。実際に現地に行き、日当たり、買い物の利便性、駅までの距離、学校のレベル、病院の有無など細かくチェックします。複数を比較して、頭金やローンの返済についても慎重に検討します。これは家ほど高額でない家電製品でも同じですし、夜の食事の店や旅行先のホテル・交通手段を選ぶときにも、ある程度の時間をかけて調べます。理由は「失敗したくない」からであり、「いい選択をした」と満足したいからです。

では株式投資はどうでしょうか。本来なら「高価な買い物」であるにもかかわらず、十分に調査もしないで買ってしまう人が少なくありません。会社から送られてくる年次報告書をろくに読まず、そのままゴミ箱に捨ててしまう人もいるのです。

リスクを減らすのは「よく知ること」

まさにバフェットさんの言う「この間出席したパーティーで小耳にはさんだのでね、200株買ってみた」です。今なら「ネットで誰かが勧めていたから」という人もいるかもしれません。

食事に行く店選びや旅先のホテル選びに時間をかけるのは、失敗したくないからです。少しでも安くて良い店やホテルを見つけたい。そのために人は事前に調べ納得いくまで比べます。

もちろん、それでも失敗がゼロになるわけではありませんが、リスクは確実に減ります。株式投資も同じです。「有名人がネットで勧めていたから」「証券会社が強く勧めてきたから」で株を買うことはあっても、それがリスクを避ける理由にはなりません。

ある人がバフェットさんと食事をしたときのこと。毎回同じ店なので「この間行ったばかりですよ」と言うと、バフェットさんは笑って答えました。

「なぜわざわざ店を変えるようなリスクを冒すのですか。あの店なら、どんな料理が出てくるか確実にわかるでしょう」

会社の中身をよく知っていて、リスクが少なく、確実に勝てる企業に投資する。それがバフェットさんのやり方なのです。

【図表1】「世界長者番付トップ10」2025年12月版 順位と資産額