※本稿は、上野泰也『本当の自由を手に入れるお金の減らし方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
値段は「他人の意見」に過ぎない
【主な登場人物】
上野泰也:マーケットコンシェルジュ代表。元・みずほ証券チーフマーケットエコノミスト。エコノミストランキングで6年連続第1位を獲得するなど、お金のプロ。
ミドリ:中学2年生。読書が好き。堅実でしっかり者。最近貯金をしている。本記事で父(上野泰也)からお金の本質を学ぶ。
上野:世の中のあらゆる値段は、君が決めたものじゃない。値段とは「他人が決めた価値」なんだ。
ミドリ:えっ、どういうこと?
上野:たとえばブームになった商品は、昨日まで1000円だったのに、突然3000円になることもある。オークションはもっと極端で、貴重な品だと数万円になったりもする。つまり「金銭的な表示額」は、他人の都合や需要と供給で、勝手に動くんだ。
ミドリ:じゃあ数字だけ見ても本当の価値はわからないんだね。
上野:そういうことだ。数字に表れた「他人の価値」に自分を合わせるんじゃなくて、自分の感じる価値を大切にすることだ。値段とは「他人の意見」にすぎないからね。
ミドリ:その考え方は、なかったかも。
上野:だろう。値段は、売り手と市場が出す“主張”だ。しかも一枚岩じゃない。いくつもの層が重なって、最終的な数字になる。単純な一つの理由で決まっているわけじゃないんだ。
原価が同じでも値段が違う商品がある理由
ミドリ:どういう意味?
上野:たとえばまずは原材料費や人件費、家賃、光熱費、梱包や配送の費用。いわゆる原価やコストだね。ここにお店の利益を少し上乗せして、ようやく「値段」ができあがる。でも実際は、それだけで決まるわけじゃないんだ。
ミドリ:原価が同じでも、値段がまったく違うことだってあるもんね。
上野:そう。近所に似た商品があれば競合が意識される。近い値段に寄せるのか、あえて離すのか。オンラインなら一発で比較されるから“見られ方”まで計算に入る。値段はいつも“他人の値段”に対するリアクションなんだ。
ミドリ:なるほど。
上野:さらに買いたい人が多ければ値段は上がり、少なければ下がる。これは店頭でもネットでも同じだ。特に相対取引といって、当事者同士が合意すれば成立する取引では、合意した“その瞬間の他人の判断”がそのまま値段になる。オークションはその典型。最終価格は競り合った他人同士が決める。つまり値段とは「他人の都合と需給の結果」なんだ。
ミドリ:確かに。誰かが「その値段で買う」って決めたから、その値段になるんだね。

