答えにくい質問をされたらどうすればいいのか。マナー講師の諏内えみさんは「相手に不快な思いをさせないのは大前提だが、一流は自分の領域を守るすべを心得ている。答えの内容そのもの以上に重要なのが、“言葉の順番”だ」という――。

答え方に「品格」が出る

年末年始、帰省やパーティーなどで多くの人と顔を合わせる機会が増えます。

そこで悩ましいのが、久しぶりに会う親戚やママ友からの、デリカシーのない質問です。

「家賃はいくら?」「ご主人の会社は?」「まだ結婚しないの?」

雑談の相手は、必ずしも品の良い人ばかりとは限りません。土足でプライベートに踏み込むような質問をされた時、その人の「育ち」と「守備力」が試されます。

二人で話す女性
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

答えにくい質問に「嫌な顔を見せない」のが育ちがいい人の証。とは言え、咄嗟にどう返していいのか焦ってしまい、また、関係が壊れるのを恐れて、言いたくない質問に答えてしまうこともあるでしょう。しかしそれは決して知的とは言えません。

不用意に答えれば嫉妬や対立を生み、嘘をつけば後の信頼に関わります。

どう対応するのが正解でしょうか?

相手に恥をかかせず、かつ自分の領域には一歩も踏み込ませない。

本稿では、そんな「ロイヤルな雑談術」の極意をお伝えしたいと思います。

「おたくのお子さん、お受験は?」

この季節ありがちなのが、ママ友や親戚からの「お受験するの?」という質問。

一流とそうでない人の差は、答えたくない質問をされたときの“答え方”に表れます。

三流は、“反射”で答える

言いたくないのに、相手の押しに負けて「○○中学を考えていて……」と情報を漏らしてしまい、後で「なんで言ってしまったんだろう」と自己嫌悪に陥る。これは相手に主導権を握られ、弱みを見せている状態です。

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また、とっさに「受験なんて全然!」と嘘をつくのも三流の答え方。

受験は隠し通せるものではありません。後々バレた時に、「あの人、嘘をついていたわね」と、合格の事実よりも「嘘つき」というレッテルが貼られ、信頼関係が崩壊します。

“とっさの反射”で答えてしまうのは、知的な対応とは言えませんね。

二流は、肯定も否定もしない

「今、本人が伸びる環境を探しているところなんです」
「これから両親の意見も聞こうと思ってます」

この返し方は、“反射”で出るものではありません。答えたくないことは言っていないし、嘘もついていません。

この答えを聞いて、不快になるひともいないでしょう。

実はかなり「上級者」の回答ですが、“パーフェクト”とは言えません。

なぜか。それは、相手に“突っ込まれるスキ”を与えているからです。

「環境を探している」といえば、「それはどこなの?」「やっぱり塾に行ってるんでしょ?」、「両親の意見を聞く」といえば、「あなたはどう思ってるの?」「ご主人は?」と聞かれるかもしれません。

こうした曖昧なで回答は、相手の好奇心を鎮火しきれないのです。