さらに、アイテムを買ってアバターを着飾れば「いいね」がもらえる。もっと評価されたくて、また買う。自分でゲームをプログラミングするのも同様だ。目的が見ず知らずの誰かに「いいね」を貰うための行動になっていく。しかも、ゲーム内で得られる通貨がリアルマネーに換金可能になっていることも、それを加速させる。

これは大人がSNSやYouTubeのような動画投稿サイトで起こしている問題と同様だ。自分が見たSNS上の投稿や動画を、AIは分析し、好みにあった投稿や動画を無限に表示しつづける。「いいね」は、脳に快楽を与える。そのくり返しで、麻薬のように「いいね」を欲しがるようになり、投稿はより過激になっていく。

ロブロックスの設計は、これとまったく変わらない。つまり、「教育に良い」「ビジネスに使える」と見せかけて、実際には子供を快楽漬けにする仕組みになっているのだ。

Roblox本社
写真=iStock.com/JasonDoiy
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ロシアで起きた「遮断への抗議デモ」が示す依存の深さ

ネット企業は、サービスそのものをユーザーが依存するように設計している。これは、いま大人向けのSNSや動画サイトでも明らかになっている事実だ。

2025年11月にEUがまとめた報告書では、GoogleやMetaなど複数の企業が自社のサービスが、子供を含めた利用者に依存をもたらすリスクがあることを認識していることを認めたことが記されている。

つまり、既に多くの国では無料で誰もが始めることのできるサービスは、脳内麻薬を量産しユーザーを中毒にするようにできているのは常識になっている。ただ、日本だけがこうした危機感もなく新たなネットサービスを教育やイノベージョン、ビジネスのチャンスと無警戒に受け入れているのだ。

ロブロックスへの依存の深刻さをもっともわかりやすく示しているのが、ロシアでの動向だ。ロシアでは2025年12月に「過激主義やテロリズムを正当化し、子供に不適切なコンテンツ」が蔓延しているとしてロブロックスの禁止を決定した。

ところがロシアの英字紙「The Moscow Times」によれば、ロシアの地方都市では、遮断に抗議するデモが発生。ロイター通信が配信したニュースでは、戦時下でこうした抗議活動が活発化していると驚きをもって報じられ、6万3000通を越える抗議の手紙がプーチン大統領に届いていることを報道官も認めたとしている。

西側の主要SNSはすでに遮断され、政府批判にはリスクもあるロシアで「ロブロックスにアクセスできなくなった」と抗議が起きていることからは、いかにロブロックスが深刻な依存をもたらすかを示している。

しかし、なぜ、日本ではいまだこうした危機感が認識されていないのか?

その背景には、日本で長く続いてきた問題意識のズレがある。

ロブロックスは本当に「教育」や「ビジネス」なのか

これまでインターネット上で問題視されてきたのは、わいせつな画像や暴力的表現、違法投稿といった「コンテンツの中身」だった。規制の対象も、常に表現そのものに向けられてきた。

だが、現在のインターネットは様相が変わっている。問題の中心は「中身」ではなく、「仕組み」だ。利用者をできるだけ長時間とどめるために設計された中毒化構造が、結果として過激で悪質なコンテンツを次々と生み出す環境を作っている。