計画を立てるには、この第2領域に入る事柄を中心に組み立てなければならない。それには「コンパス」を意識することが必要だ。

コンパスとは自分自身が向かうべき目的や方向性を指し示すものと考えていただきたい。すなわち、時間管理マトリックスの重要軸がコンパスにあたり、緊急軸が時計にあたる。そしてタイム・マネジメントのツールは、コンパスありきの時計でなければならない。

多くの人ははしごのてっぺんにのぼり詰めてから、その場所がかけ間違いであることにはじめて気付く(コヴィー博士)。どこにはしごをかけるかを見るのがコンパスで、効率よくのぼっていくために必要なのが時計である。コンパスは効果性、時計は効率性を見るものといえよう。ドラッカーが言ったように、もともとやるべきでなかったことを効率よくやるほど非効率なことはない。適切な場所にはしごをかけるには、自分のコンパスを見る必要がある。

しかし、あなたが1日に時計を確認する機会は何度となくあっても、自分のコンパスを確認する機会は1日のなかにどれだけあるか。よく考えてみてほしい。

タイム・マネジメント第2世代のスケジュール帳は時計だけで、コンパスが入っていない。よほど自分で工夫しない限り、自分の方向性を確認できないつくりになっている。それが第2領域を知らず知らずのうちに後回しにしてしまう私たちの習慣の形成に影響している。この悪しき習慣を直さなければならない。

フランクリン・コヴィー・ジャパン副社長 竹村富士徳
フランクリン・コヴィー・ジャパンの中でも、特にタイム・マネジメントの分野で、商品のコンセプトづくりからコンテンツ開発まで深く関わり、超人気講師として活躍中。国際部門で、トップレベルの業績達成に貢献する。
(構成=宮内 健 人物撮影=小倉和徳)
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