もう1つのポイントは「バランス」である。これには2つあって、1つは人間関係のバランス、もう1つは『7つの習慣』でP/PCバランスといわれているものである。

人間関係のバランスとは役割のバランスと言い換えてもよい。従来のタイム・マネジメントの大きな問題点は、自己完結している点にある。

第3世代のタイム・マネジメントで目標をブレークダウンしスケジュールに落とし込む作業で、他者の存在を意識することはあまりない。ところが人は他者との人間関係のなかで生きている。1人でできることには限界があり、実際に目標を達成するためにはいろいろな人たちとの協働が必要だ。他人と協働することで相乗効果が発揮されるが、自己完結していると生産性は高まらない。

相乗効果とは1+1が3以上になるようなものであり、自分の持っている第1案、相手の第2案ではなく、1人では思いもよらなかった第3案を得ていくことである。ところが自分の第1案を実現することだけを追求して相手の案を受け入れず、お互いの違いを活かそうとしなければ、どんなに個人の仕事を効率よくできても生産性は向上しない。

また、会社や家庭、友人関係など、人は多様な役割のなかで生きている。そうした自分自身に与えられた役割とのバランスをうまくとってプランニングを行わない限り、いくら目標を立てても長続きできない。

もう一方のP/PCバランスは「効果性の原則」とも呼ばれる。英語では望む結果をProduction、目標達成能力をProduction Capabilityという言い方をする。P/PCバランスとは、この両者のバランスのことである。誰でも望む結果は持っているだろう。しかし、同時に目標達成能力を高めていかなければ、長期的に望む結果を得続けることはできないということだ。

ところが多くのタイム・マネジメントに関するコンテンツは、望む結果に偏って目標達成能力の重要性をあまり謳っていない。長期的な成果を得るために目標達成能力を高めるには、自分自身を磨き「再新再生」し続けなければならない。