不確実な時代、漠然とした先行きへの不安感が募る日々。このもやもやとした空気の正体をつかむためにも、この国の歴史を振り返り、現在を読み解くことが必要だ。独立研究家・山口周氏が、これからの日本の生きる道を示す厳選20冊を一挙紹介。

日本に突き付けられた「私たちは何者か」

2025年は、「変化の年」でした。1月にはトランプ米大統領が再登場し、秋には日本で初めての女性首相が誕生。しかし、世界にとって最大の衝撃は、アメリカがついに世界の警察官としての看板を下ろしたことではないでしょうか。戦後、莫大なコストを払いマーシャルプランを打ち出し、紛争地に介入してきたアメリカは、言うなれば世界の“学級委員長”役。でも、そのアメリカが「もう降りる」と言っている。「自国ファースト」を掲げ、各国に関税見直しを迫る姿に、「米国の伝統が崩れた」と嘆く声すら聞かれます。

けれども、立ち止まって考えてみれば、これまでが少々“異常”だっただけのこと。本来、国家が自国の繁栄と幸福を最優先するのは当然で、むしろアメリカは、ようやく“普通の国”になろうとしているのかもしれません。