(PANA=写真)

さらに佐藤氏が注目するのは、強調の言葉づかいとジェスチャーだ。

「韻を踏み、強調する言葉づかいも素晴らしい。例えばiPodにたくさんの曲が入ることを“thousands songs”と繰り返し表現する。印象に残る理想的な首句反復です。あるいは“Whole music right in your pocket.”という場面。『すべての音楽が君のポケットにあるんだよ』とステージを移動しながら何度も語りかける。薄さについては、親指と人差し指で隙間をつくり、“super thin”と強調する。音声を消しても、身ぶりだけで話の内容が伝わってきます。とにかく天才。スーパーいいわ。参っちゃう。本当にスーパーワンダフル!」(佐藤氏)

まさにプレゼンの基本がすべて凝縮されたお手本。ジョブズのプレゼン映像を繰り返し見てトレーニングすれば、日本の経営者も世界の舞台で通用しそうだ。

ただし、テクニックだけを安易に真似るのは禁物だ。

「メッセージを絞り込んで強調すれば、記憶に残りやすいだけにデメリットもあります。実行できない場合や、あきらめて別のことをやりはじめた場合にすぐ見抜かれてしまう。ジョブズのような徹底した行動が取れないと逆に信用を失います」(匠氏)

暗黙の了解、選択の曖昧さ、集団決定などは、日本企業らしいビジネス慣習と長らく呼ばれてきたもの。まずはそこから見直さないと、世界に通用するカリスマ経営者の話し方は身につかないのかもしれない。