タイミングを見極め、どれだけそこにBETできるか

地合いが良いときは、10の努力が100にも1000にもなります。でも、同じ努力を逆風の時にしても10にしかならないし、マイナスになることさえあるでしょう。僕がよく例えとして話すのは、大学受験の直前3カ月前から、死ぬ気で勉強すれば、その努力には1ランク2ランク上の学校にいけるだけ価値があります。他方で、高校1年生の時の3カ月間やる気になって、同じだけの努力で勉強しても、大学受験にはそこまで影響しない。同じだけ努力しても、どのタイミングで頑張るかで、パフォーマンスは全然変わってくるのです。そのタイミングとは、自分の都合で決められるものではありません。

藤田晋『勝負眼』(文藝春秋)
藤田晋『勝負眼』(文藝春秋)

一人の会社員にとってもそれは同じで、動くべきなのは自分にチャンスが来ているタイミング。例えば新入社員で入社したばかりで注目されているとき、何か大事な役割を任されたとき、業界全体に新しい波が来ているときなどです。そういう「地合い」が良いときこそ、個人の事情を捨て、全力を出すべきなんです。

もし、あなたが10の努力が100にも1000にもなるタイミングを見つけたら、そこが勝負どころです。可能な限り、余すことなく、時間も情熱も全て賭けるべきです。それは次にいつ訪れるかわからないチャンスなのですから。そのタイミングの見極めと、どれだけそこにBETできるか、それが「勝負勘」の世界です。

(聞き手・構成=ノンフィクション作家・稲泉連)
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