麻雀は「運7割、実力3割」
多くの人は運に翻弄されています。麻雀でもツイている時は自分の実力だと過信して調子に乗り、守りが弱くなる。逆にツイてない時が続けば、不貞腐れてやる気をなくし、投げやりになる。運の波に感情を揺さぶられ、自制心を失い、ついには自ら崩れていくわけです。
一方、麻雀が本当に強い人は、運が平等であることを理解しています。だからこそ、予測できない運の波に一喜一憂しません。「いい時」と「悪い時」のそれぞれに適した戦い方があることを知っていて、それを徹底できる。勝てるときにいかに大きく勝つか、負けるときにどれだけ負けを抑えられるかを心得ている。これは「勝負眼」の正体の一つです。
麻雀の世界ではよく「運7割、実力3割」と言われます。どんなに強いトッププロでも、今日ルールを覚えたばかりの素人に負けることがあるのが麻雀です。将棋や囲碁ではあり得ないことですが、麻雀ではそれが起こり得る。
そのように7割も運に支配されているゲームなんて、真剣にやるだけ無駄だと思う人もいるかもしれません。
でも、僕の考え方は逆です。運が7割ならば、その部分で差をつけるのは不可能です。しかし、残りの「3割」の実力部分、つまり才能や努力、精神力の部分では、長期的には他人と必ず差がついていく。しかも大きく差がつく。そのように考えています。
ドン・キホーテ創業者・安田会長の凄み
明日の天気をコントロールできないように、運はどうしようもありません。だからこそ、自分にコントロールできる「残りの3割」をどれだけ徹底できるか。
多くの人は、運に左右される結果を見ると、「そこまでこだわっても意味がないんじゃないか」「結局は運だろう」と思っていい加減になったり、投げやりになったりしてしまいがちです。しかし、それは僕に言わせれば、最もやってはならない思考停止。麻雀は運の要素が強いからこそ、実力の部分で手を抜けば、あっという間に負け側に転落しまうからです。
例えば、この「3割の徹底」において、僕が最も「すごい」と思っている経営者が、ドン・キホーテの創業者の安田隆夫さんです。僕は多くの経営者と麻雀を打ってきましたが、安田さんほど麻雀を真剣に打つ人には出会ったことがありません。年齢や地位など一切関係なく、どんな相手でも、どんな小さな勝負でも、安田さんは圧倒的に真剣なんです。
運に左右されるゲームを長く続けていると、「どうせ運だろ」という甘えが出て、人間はだんだん適当になっていきます。だから、ツイているときは余裕を見せて遊びたくなるし、ツイていないときは雑になる。でも、安田さんは違う。どんな局面でも怖いほどの「本気」と「一生懸命」を保っている。それができることこそが、本当の強さなのだと、安田さんの麻雀を見ていると痛感させられます。

