中国共産党の重要会議で起きた"異変"

10月20~23日、中国共産党は「四中全会」(第20期中央委員会第4回全体会議)とよばれる重要会議を開催した。そこで、2026~30年の中期的な経済・社会目標を示す第15次五ヵ年計画の草案である、「国民経済・社会発展第15次五カ年計画に関する中国共産党中央の建議」(以下、「建議」)を採択した。来年3月の全人代(国会に相当)で最終的な計画が公表される予定である。

中国の習近平総書記
中国の習近平総書記(画像=The White House/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

最大の注目点は、今後5年間の成長率目標が「建議」で示されなかったことである。前回の第14次五カ年計画(2021~2025年)でも成長率目標が示されなかったが、これは主にコロナ禍による不確実性の高まりを受けた対応であった。それ以前は、第7次五カ年計画(1986年~1990年)以降、毎回成長率目標が示されてきた(図表1)。

五カ年計画の成長率目標と実績値

今回、具体的な数値目標は示されなかったものの、中国指導部が経済成長を重視する姿勢に変わりはないとみられる。習近平総書記が五カ年計画に関する説明の中で、2035年までに一人当たりGDPを中等先進国並みに引き上げるとの長期目標実現のため、「第15次五カ年計画期の経済・社会発展が適切な速度を維持する必要がある」と言及しているからだ。

なお、この2035年までの長期目標とは、第14次五カ年計画発表と同時に示されたものと同様で、今回改めて強調された。 

影の成長率目標は「今後10年で年平均+4.17%」

ただし、このような曖昧な表現では、どの程度の成長率を目安としているのか分かりにくい。中等先進国の所得水準や為替(対米ドル人民元レート)、物価などについて一定の前提を置けば、必要となる成長率を試算できるものの、幅の広い推計となってしまう。

そこで参考になるのが、中国共産党員向けに出版された「建議」の解説書(※1)である。報道によると(※2)、同書では、中等先進国レベル到達の評価基準について、「一人当たりGDPが先進国の基準(20,000米ドル以上)を超え、2035年までに一人当たりGDPが2020年比で倍増(2020年価格ベース)すること」と言及している。

その上で、「総人口が2035年までに年平均0.20%程度減少すると予測され、『第15次五カ年計画』および『第16次五カ年計画』期間のGDPは年平均+4.17%の成長が必要」としている。

(※1)「党的二十届四中全会<建議>学習補導百問」学習出版社、2025年10月
(※2)「2035年人均GDP達到中等発達国家水平 未来十年需年均増長4.17%」財新、2025年10月31日。