今どきの若者・Z世代は、なぜ言われたこと以上はやらないのか。組織開発専門家の勅使川原真衣氏は「大人の行動をよく観察しているZ世代らしい、合理的な考えが彼らの中にはある」という――。

※本稿は、勅使川原真衣『人生の「成功」について誰も語ってこなかったこと 仕事にすべてを奪われないために知っておきたい能力主義という社会の仕組み』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

スーツを着たビジネスマン
写真=iStock.com/Yue
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Z世代における「失敗」の定義

失敗とは何か。

・戦線離脱すること
・褒められたとて目立つこと
・成長している感じがしないこと

このあたりを私は思い浮かべたが、失敗こそ生まれ育った世代の空気感次第で変わるらしい。

たとえば、日本能率協会マネジメントセンターが2020年に行った「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2020」が、2019~2020年に入社した新入社員(=Z世代)、ミレニアル世代、就職氷河期世代、バブル世代で分けると、Z世代社員には明確に、

「失敗したくない」「恥をかきたくない」「他人からの評価が気になる」

という意識が調査結果に表れるという。

では一体「失敗したくない」の失敗とは何か? 前述の結果をみると、「目立つこと」「自己主張すること」「粘ること」「創意工夫すること」は、結果がわからないなかで粉骨砕身すべきことではないと考えられているようだ。

つまり、うまくいくか、評価されるかもわからないのに、全身全霊で、粘り強く、工夫に工夫を重ねて、熱意を他者に伝え……なんてムダなことはしませんよということだ。逆に言えば、未来の確約もないのに、自分をさらけ出すようなことをしてしまうのは、「失敗」だと言う。

「いい子」の行動原則

金間大介氏は『先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社、2022年)のなかで、今のZ世代の特徴を「いい子症候群」と名付けて次のような整理をしている。

いい子の行動原則
◆ 周りと仲良くでき、協調性がある
◆ 一見、さわやかで若者らしさがある
◆ 学校や職場などでは横並びが基本
◆ 5人で順番を決めるときは3番目か4番目を狙う
◆ 言われたことはやるけど、それ以上のことはやらない
◆ 人の意見はよく聞くけど、自分の意見は言わない
◆ 悪い報告はギリギリまでしない
◆ 質問しない
◆ タテのつながりを怖がり、ヨコの空気を大事にする
◆ 授業や会議では後方で気配を消し、集団と化す
◆ オンラインでも気配を消し、集団と化す
◆ 自分を含むグループ全体に対する問いかけには反応しない
◆ ルールには従う
◆ 一番嫌いな役割はリーダー
◆ 自己肯定感が低い
◆ 競争が嫌い
◆ 特にやりたいことはない
(『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』22〜23頁)

逆に言うと、彼ら・彼女らの「悪い子」「ダメな子」、すなわち「失敗」は、先の行動原則を反転させればよい。

うまくいくかもわからないのに、やりたいこと、なんかを語り、納得いかないと上にたてついて、ルールの無意味さを説き……なんてのは、言い方は悪いが「バカを見る」と。