「休む」というと、「1日寝て体を休める」と考える人は少なくないのではないだろうか。医学博士の片野秀樹さんは、「散歩をしたり庭の掃除をするなど、行動をした方が代謝が良くなり、結果的に疲れが軽くなることがある。どんな方法がよいかは人それぞれなので、休養の7タイプを知り、自分が無意識にできるものを見つけることが大切だ」という――。

※本稿は、片野秀樹『休養マネジメント』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

リビングルームのソファに横たわる疲れた女性
写真=iStock.com/AntonioGuillem
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アクティブレストのすすめ

「アクティブレスト」という考え方をご存じでしょうか。

この理論は、最近浸透してきているのでご存じの方も多いかもしれません。

スポーツ界では、「アクティブレスト」と「パッシブレスト」という2つの方法を使い分けています。日本語でいうと、「積極的な休養」と「消極的な休養」です。

パッシブレストは、体を動かさずに安静にするという、消極的な休養です。

それに対してアクティブレストは、体を軽微に動かす休養です。

なぜ体を動かすかというと、血液の循環を促すためです。体を動かすことによって、血流を促し、代謝後の老廃物を洗い流します。さらに、新たな代謝に必要な酸素を供給することができます。

スポーツ選手は、激しいトレーニングをしたあとに、よくアクティブレストを取り入れます。柔軟体操をしたり、グラウンドを1周走ったりします。

そうすることで、より効率的に疲労回復を図ることができると知っているからです。

では、私たちの生活はどうでしょうか。

1日中、ごろごろして休日を過ごしている人は多いのではないかと思います。この行動は体を動かさないので、「パッシブレスト」になります。

アクティブレストの考え方を取り入れれば、このような過ごし方はむしろ非効率になります。

一見おっくうにも思えるかもしれませんが、少し散歩に出かけたり、体操をしたり、庭の掃除をしたりという行動を取り入れたほうが、疲労回復に効果的だということです。

「休養の7タイプ」から効果的な休み方を考える

「休めと言われたところで、じゃあ何をすればいいの?」と戸惑っている方も多いのではないでしょうか。

残念ながら、「何をすればいいか」は人それぞれと言うしかありません。

10人いれば10通りの休養方法があります。自分にとって、今どんな休養が必要なのかは、ご自身にしかわからないのです。

休養は、大きくわけて「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」の3つに分類されます。

「生理的休養」は、身体的な疲労回復を目的とした休養です。

「心理的休養」は、精神的、感情的なストレスを解消することを目的とした休養です。

「社会的休養」は、環境を変えることで心身のリフレッシュを図ることを目的とした休養です。

このうち「生理的休養」には休息タイプ・運動タイプ・栄養タイプが、「心理的休養」には親交タイプ・娯楽タイプ・造形・想像タイプが、そして「社会的休養」には転換タイプがあります。

私はこれを、「休養の7タイプ」として定義しています。

それぞれの休養タイプの特徴について見ていきましょう。

休養の7タイプ