大型案件を受注するのに重要な要素は何か。法人営業一筋20年の杉本浩一さんは「1カ月や四半期といった目の前のノルマを気にしないことだ。法人営業は時間がかかる。成功するためにはこれを理解することが最重要だ」という――。

※本稿は、noteに発表した記事「営業一筋20年の私が考える『エンタープライズセールス』において大切なこと」を再編集したものです。

成果の出ない2年間

34歳のとき、NTTコミュニケーションズからLINEに転職しました。

エンタープライズセールスとして、LINEをあらゆるインフラ系企業に導入してもらうのがミッションです。しかし当時はインフラ系企業とは何の繋がりもありませんでした。

結局、大きな成果が出るまでに2年ほどかかりました。

直属の上司だった田端信太郎さんからは「俺は2年間は我慢するからな」と言われていたのですが、途中で給料を少しだけですが下げられました。「え、下げないって言ったじゃん!」と思いました。

まあそれはいいのですが……忘れもしない2016年の1月15日。入社から2年間の水面下での苦労が実り、ヤマト運輸さんへの導入が決まりました。最後は社長同士が握手をして提携が決まりました。

仕込みの2年間、何をしていたのか?

私は大玉を狙うというか、インフラ企業を狙うことに注力させてもらっていました。特に役職もなく、まわりからは「特命係長」と呼ばれていました。

具体的な動きとしては、イベントに出て行ったり、社内の人や知り合いに人を紹介してもらったり、お客さんが集まるところに出て行ったり……。

名刺交換
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

とにかくヤマト運輸やANAなど絶対に狙いたいところに少しでも近づけるよう、炎の人を探し続けては会うということを泥臭く続けていました。

提案は内容よりもタイミング

提案はその内容も大切ですが、より重要なのがタイミングです。

例えば商談のとき、お客さん側に5人いて、その末席にいる人が「炎の人」だったりするわけです。端っこにいるからといって軽視してはいけません。「いまいち反応が良くなかったな」というときでも、その末席にいた人からこんなメールが来たりします。

「先日はありがとうございました。今回は見送るということになったのですが、私としてはすごく大事だと思っていまして……」

そういうとき私は、その人に定期的に会うようにします。確かに今はまだタイミングではないのですが、その人の立場が変わったり、風が変わると機会が巡ってくることはよくあるのです。

提案の中身よりもタイミングが物を言う。

どんなときも風が吹いただけで船は進みません。風が吹き始めたときを見計らって帆を広げる。この感覚がものすごく大事なのです。よってエンタープライズ営業は「それまで待つ胆力があるか」も問われる。それができる人でないとなかなか結果は出ません。

1年以上タイムラグがあることなんてザラです。

だから「なんだ案件になんないや」などと思ってはいけないのです。悪い印象を残したり、連絡を取らなくなったりしてもいけない。誰かが転職してそこで話をしてくれたり、誰かが出世して役職が変わることだってあります。

あのときは何も仕事にならなかったけど、その人が職場を変わって、急に仕事になる。そんなパターンはたくさんあります。長くエンタープライズセールスをしていると、それを強く実感します。