セツの手足を見て「太い」

結論を先にいえば、良くも悪くもかなりの「変人」で、トキのモデルの小泉セツも、錦織のモデルの西田千太郎も、かなり振り回されたようだ。

たとえば、桑原羊次郎『松江に於ける八雲の私生活』(山陰新報社)には、ハーンが最初に滞在した富田旅館(「ばけばけ」の花田旅館のモデル)の女将ツネの証言として、「ばけばけ」でも描かれた場面について、次のように書かれている。

「節子様の手足が華奢でなく、これは士族のお嬢様ではないと先生は大変不機嫌で、私に向かってセツは百姓の娘だ、手足が太い、おツネさんは自分を欺す、士族でないと、度々の小言がありましたので、これには私も閉口致しまして種々弁明いたしましても、先生はなかなか聴き入れませんでしたが、しかし士族の名家のお嬢さんに間違いありませんので間もなく万事目出度く納まりました」