上司が部下に仕事を任せるとき、どのようなコミュニケーションを取ればいいのか。リーダーズクリエイティブラボ代表の五十嵐剛さんは「『好きにやっていいよ』という丸投げや、部下に一切の権限のないただの命令では、成果も出ず、部下からの信頼も得られない」という――。

※本稿は、五十嵐剛『任せる勇気』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

従業員を責める上司
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「おやつは300円まで」には仕事を任せるノウハウが詰まっている

小学校の遠足を思い出してください。

「おやつは300円まで」

たった1つのルールが、子どもたちをワクワクさせました。「どのお菓子を選ぼうか」と、考える楽しさがあったからです。

もしも「自由に買っていいよ」と言われたら、子どもは「どのくらい買えばいいの……?」と不安になり、迷います。際限のない自由のもとでは、人はかえって動けなくなるのです。

一方で「ポテチは買いなさい」「ガムはダメ」などと細かく指示されると、自分で選ぶ楽しさは失われ、それはただのお使いになってしまいます。一定の裁量がなければ、自主性は生まれないのです。

そこで、まずはリーダーとして知っておくべき「任せるときの伝え方」についてお話ししましょう。

超えてはいけない「レッドライン」を伝える

原則① 「レッドライン」を必ず決める

レッドラインとは、納期・予算・品質基準といった「超えてはいけない一線」のことです。リーダーは、この境界線を明確に引く必要があります。

なぜなら、こうすることで「この線までは、あなたの裁量で動いていい」という、信頼と権限委譲のサインをメンバーに伝えることができるからです。

赤い線の前に立つ
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具体的な例を挙げるとするなら、

「原価800万円までなら、あなたの判断で自由に決めて構いません」
「納期さえ厳守できるなら、プロジェクトのスケジュールは任せます」
「品質を担保できるなら、開発方式は最適だと思うものを選んでいいよ」

といった具合でしょう。