もっと電子書籍で読んでもらいたい
本の内容を要約して伝えるには、たんにあらすじを語ってもおもしろいものにはなりません。「東浩紀は要約力が高い」といわれることがありますが、それはぼくの本の読み方がほかの人とはすこし違うからだと思っています。
1971年、東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。ゲンロン創業者。著書は『動物化するポストモダン』『一般意志2.0』(ともに講談社)、『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)など。
ぼくの本選びはわりと直感的で、テーマやジャンルへのこだわりはありません。SNSで見かけて「おもしろそうだな」と思った本をバババッと一気に買うスタイルです。
自分で買うのは仕事以外の本で、多いのはアマゾンのキンドルです。キンドル中心になった一番の理由は老眼対策。電子書籍は文字を大きくしたり、レイアウトや背景色を変更したり自在にできるのが最大の利点です。
紙の本だと老眼鏡が不可欠です。しかも、すぐになくしてしまうから、いくつも買うことになる。だから、最近ものすごく重宝しているのがメガネ紐。若い頃は首からメガネを下げた人を見るたびに「なんで、いつもぶら下げてるんだ?」と思ったものですが、老眼になって初めてメガネ紐の存在価値がわかりました。銀座の伊東屋でお気に入りを見かけるたびに色違いを数本まとめて買うのでコレクションのようになっています。
電子書籍はもっと普及しなくてはいけないと思っています。日本は良くも悪くも書店文化が強く、縦組みの本が棚に並ぶ光景にノスタルジーを感じる人たちがたくさんいます。
しかし、昔ながらの読書スタイルにこだわっていたら、日本の出版文化や読書文化は死んでしまう。本はいろんな形で読まれるべきで、流通や物流の問題も合わせて、電子書籍の比重は高くなるべきです。
特に人文書はもっと電子書籍で読んでもらいたい。日本の電子書籍で成功しているのはマンガぐらいで、思想や哲学の本は全然売れません。紙の本にこだわる読者たちが、人文書の市場を滅ぼしているようにさえ見えます。
紙の本や書店のありがたみは、ぼくも心底わかっているつもりです。自宅でも職場でも本に囲まれ、最近も新しい書斎をつくり蔵書を整理したばかりです。本棚というのは、脳の中身が物理的に外へ出たようなものです。だから、かつて読んだ本の背表紙が見えるだけで、古い記憶にアクセスしやすくなります。
そういう紙の本や書店、図書館の価値を認めたうえで、やはり読書文化と書店文化は切り離して考えるべきだと思います。40代、50代になると読書から遠ざかる老眼問題は大きいし、大きな本は置き場にも困ります。人文書は絶対に電子化したほうが市場が大きくなるはずです。そういう流れを応援する意味でも積極的にキンドルを利用しています。
読書ペースはだいたい週2冊から3冊。年間100冊から150冊は読んでいる計算になります。2割ほどは小説などフィクションだと思いますが定かではありません、日本の作家でも海外の作家でもジャンルを選ばずランダムに読みます。自分で買った本については、半分強は読んで残りが積読という感じでしょうか。とはいえ最近は献本や仕事関係の資料が多いので積読ばかりですね。
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