都心のマンション価格が高騰している。具体的にどのエリアが人気なのか。X(旧Twitter)でさまざまなデータを可視化・発信しているにゃんこそばさんの著書『データでわかる東京格差』(SB新書)より、中古マンションの取引価格に関する箇所を紹介する――。(第2回)

マンション価格はどこまで上がるのか

中古マンションの取引価格を「最寄り駅別」に可視化してみました(図表1)。

【図表1】「最寄り駅別」中古マンション取引相場(2024年6月~2025年5月)
2001年以降築、駅徒歩15分以下、60~100m2の成約価格を「70m2相当」に換算(『データでわかる東京格差』より)

データソースは国土交通大臣指定の不動産流通機構(REINS)に登録された成約情報をまとめたサイト『REINS Market Information』(筆者による独自集計)です。

2024年6月~2025年5月に成約した物件のうち、2001年以降築、駅徒歩15分以下、専有面積60~100m2の部屋を対象に、実際の成約価格を一般的なファミリー向け住戸の広さである「70m2相当」に換算した上で、各駅の価格の中央値を100万円単位で表しています(例:100=1億円)。

注意点(1)
今回参照したデータは、『REINS Market Information』で一般公開されている成約情報です。国内最大級の取引データベースですが、市場のすべての取引を捕捉しているわけではありません。
注意点(2)
国の不動産価格指数や学術研究など、より厳密な分析が求められる場合には、築年数や階数といった条件を統計的に調整する「ヘドニック法」などの手法が用いられることもあります。

予算2億円でも買えない物件がある

東京で中古マンションの価格が最も高いのは、港区、千代田区、渋谷区といった山手線の南半分のエリアです。中央値1億6000万円~2億4000万円ですから、2億円の予算があっても約半数の物件には手が届きません。

また、このエリアを取り囲むように、都心から東京湾岸にかけての一帯(中央区、江東区、港区の一部)、城南エリア(品川区、目黒区、世田谷区の一部)、そして山手線の北半分(文京区、豊島区の一部)にも中央値1億円~1億4000万円の地域が広がっています。

3年前(2021年2月~2022年1月)の価格マップと比較してみましょう(図表2)。

【図表2】「最寄り駅別」中古マンション取引相場(2021年2月~2022年1月)
直近1年(2024~2025年)と比べて20~40%ほど安い駅が多かった(『データでわかる東京格差』より)

当時は山手線の南半分で1億円~1億5000万円、周辺エリアで7500万円~9000万円程度でしたから、都心周辺の中古マンション相場は、わずか3年で1.3~1.6倍まで上昇したことになります。

2025年3~5月の最新データによると、江東区豊洲で取引された中古マンション(2001年以降築)の70m2換算価格の中央値は1億2500万円です(REINS Market Informationより)。この価格のマンションを35年ローン(変動金利0.879%)で購入する場合、月々の返済額は約34.6万円に達します。

これに管理費、修繕積立金、固定資産税を加えると、年間の負担額は480~500万円ほどとなります。