日本人は休むのが下手――。弊社で800社以上の働き方改革を支援してきた中で、そう感じることがしばしばありました。
これには2つの側面があります。一つは「休む時間が取れていない」という問題です。厚生労働省の最新調査(2022年)によると、日本の全労働者の有給休暇の取得率は58.3%にとどまっています。この背景には、「休みを取ると上司や同僚が不快になるのではないか」と考えてしまう、日本人特有の「空気を読む」文化による過剰な気遣いがあります。
特に管理職の労働時間は近年増加しています。働き方改革で部下を早く帰らせ、その分を管理職が補う状況になっており、管理職が休めないため部下も休みにくくなっているのです。
企業の体質にも問題があります。多くの企業が個人依存体質で、特定の人がいないと仕事が回らない状況をつくり出し、結果的に休みにくい環境になっているのです。また、いまだに労働集約型の企業が多く、働く時間を増やせば売り上げが上がる構造になっています。こうした状況が、休むこと自体に罪悪感や後ろめたさを感じさせる要因となっているのです。
もう一つの問題は、「休日の過ごし方」にあります。休日にしっかり休めている人は数少なく、休日も仕事のことを気にしている人が少なくありません。大きな要因になっているのが、スマホです。休日でも会社のメールやチャットが届くため、それを見た瞬間に仕事モードになって、心が休まらず家族と楽しむ時間が失われていきます。メール処理は左脳を使った論理的思考が必要なため、脳の疲れも取れません。
弊社で2万3000人を対象に調査したところ、土日にメールを見ても見なくても、仕事には影響がないことがわかりました。7割以上の人が週末のメールを休日にも月曜の朝にもチェックしており、チェックの頻度が増えているだけで生産性が上がるわけではないのです。
また、「休んでもやることがない」と考える人も少なくありません。趣味もなく休日をダラダラ過ごした結果、「何もできなかった」とむなしさを覚えてしまうのです。
こうした休日の過ごし方が、日曜の夕方に翌日のことを考えて心が暗くなる「サザエさん症候群」を引き起こします。月曜の憂鬱は肉体的な疲れよりも、頭と心の疲れが残っている状態から生まれます。
解決策はシンプルです。食事の時間には食事を取るのに専念するように、休日は休むことに専念するべきなのです。土日にメールを見たところで生産性が上がるわけではありません。休日にしっかりと心身を休め、月曜からフレッシュな状態で仕事に臨むほうがよほど生産的です。
充実した休日を過ごすため平日は効率よく仕事する
世界の一流リーダーは、「休日が主役で、平日の仕事は休日のため」という意識を持っています。これは一般的な日本人とは真逆の発想です。私たちが「仕事が忙しくて休めない」と仕事を主体にして休みを犠牲にする一方で、彼らは「充実した休日を過ごすために効率よく仕事をする」と休みを主体的にとらえているのです。
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