日本再生のための「たった1つの方法」
激動の現代、これまでのように妥協や調整だけで政治を運営することは、もはや日本の持続を保証しない。各省庁の利害をすり合わせ、派閥の均衡を保ち、世論の平均値をとる――そうした「合意形成型政治」は、戦後の復興と安定成長期には機能した。しかし、構造が老朽化し、変化の速度が桁違いとなった現在、このやり方は国家の惰性装置に変わっている。
人口減少、少子高齢化、地方衰退、経済停滞。こうした慢性疾患のような課題は、もはや行政の調整力では解決できない。成長を優先すれば格差が広がり、分配を重ねれば活力が失われる。防衛を強めれば財政が揺らぎ、支出を抑えれば安全が脅かされる。どちらかを立てれば、どちらかが崩れる――これが今の日本政治の構造的ジレンマである。
したがって、問うべきは「どちらを選ぶか」ではない。どうすれば対立する要素を同時に生かせるかである。成長と分配、防衛と福祉、官僚と政治――すべてを“均衡のデザイン”として扱わなければ、この国は二項対立の消耗戦の中で失速していく。
いま求められているのは、理念でも立場でもなく、矛盾そのものを国家のエネルギーに変える統治知である。この発想の転換なしに、日本の再生はあり得ない。
ゆえに、自民党の解党的出直しも、日米関係の再設計も、日中関係の均衡構築も、経済大国としての復活も、すべては同じ課題に行き着く。すなわち、「対立を選択ではなく構造として制御する」ことである。
高市早苗氏の「フォース型政治」とは
調整と妥協の政治は、国家を動かすことを目的とせず、「止めること」「先送りすること」を目的化してしまった。このままでは日本は、静かに衰退するだけの現状維持国家に堕してしまう。
高市早苗が示唆し、筆者が「フォース型政治」と命名する新たな政治は、まさにこの構造疲労を打破するための新しい統治モデルである。
フォース型政治とは、矛盾を力に変え、対立を循環に変える政治である。フォースとは、本来「力(Power)」ではなく、「生命の調和(Balance of Life)」である。英語「force」の原義はラテン語「fortis(強い)」に由来するが、物理的な「力(power)」というよりも、「作用・働き・影響力(agency)」を指す概念である。
実は「フォース」には、東洋的哲学との共鳴がある。
道(タオ/老子):万物の根源的秩序・循環の原理
陰陽(中国古典思想):相反する力が均衡して宇宙を維持する構造
それは「スター・ウォーズ」に象徴されるように、光(創造)と闇(抑止)の二つの側面を持つエネルギーであり、対立するものを排除するのではなく、循環させることで全体を維持する原理である。
ライトサイド=命を育む力(創造・流動・希望)
ダークサイド=命を守る力(制御・戦い・犠牲)であり、両者は対立ではなく“宇宙の呼吸”として共存する。
善と悪、光と闇、秩序と混沌──それは排除し合う関係ではなく、お互いを定義し合う循環の構造である。
・ジェダイ(光)vs.シス(闇):片方が滅びるともう片方も歪む。対立は均衡を保つ力
・個人の自由vs.銀河の秩序:どちらかが過剰になると、もう一方が反発として生まれる
・感情(愛・怒り)vs.理性(規律・責任):“心”を封じても、“秩序”は腐敗する。どちらも人間の根幹
つまり「光があるから闇が生まれ、闇があるから光が意味を持つ」。この両輪的対立=循環構造が、宇宙(フォース)の持続性を支えている。
「二項対立=循環系の両輪」という視点を高市早苗氏の政策思想に重ねると、高市政治はまさに「フォースの均衡」を目指す国家設計に見えてくる。
光(成長)と闇(防衛)という二つのエネルギーを同時に制御し、対立を均衡へ、矛盾を力へと変える政治。それが、彼女が目指すべき「矛盾を統治する国家」の構想である。

