子どもが反抗期になったら、親はどうすればいいのか。精神科医さわさんは「反抗期は、子どもが自己主張を始める自然な発達プロセスだ。親にとっては、子育ての思い込みを見直す絶好の機会でもある」という――。
不満げな顔で床に座り込む男の子
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「親が正しいわけじゃない」という気づき

ウザい、うるさいと言われる。話しかけても無視されたり、睨みつけられたりする……。

子どもが小学校高学年から中学生ぐらいになると、こんなふうに態度が変化して「どうしていいかわからない……」と悩まれている親御さんも多いと思います。毎日、バトルになっているご家庭もあるかもしれません。

いわゆる「反抗期」ですが、私は悪いものだとは思っていません。小学校の低学年ごろまでの子どもにとってプライオリティが高いのは、やはり親や家族の存在です。親と一緒にいたいと思い、親の言っていることが正しいと信じています。

ところが成長によって家族以外の人との関わりが増えていくと、「あれ、うちの親の言っていることが、正しいわけではないのかな?」と感じるようになっていきます。そうやって自分なりの考えや意見を持つようになったり、「親に甘えたくない」という自立心も芽生えてきたりします。

そこに思春期特有のホルモンバランスの変化が重なり、情動不安定になりやすい時期です。そのために感情が揺れやすくなり、コントロールが難しくなります。

つまりこの時期に起こっていることは、思春期の葛藤であり、子どもが自己主張を始めるごく自然な発達プロセスです。私はそもそも「反抗」という言葉は適切ではないと思っています。