“包丁が苦手だけど家で野菜をいっぱい食べたい”というニーズに応えるため、ピーラーやスライサーが数多く発売されている。各社の使い勝手はどうなのか。生活史研究家の阿古真理さんが比較検証した――。

進化し続けるキッチンツール

キッチンツール選びは悩ましい。その中でも最近は、調理時間を長引かせる「切る」作業をラクにするツールが充実し、台所の担い手を迷わせている。

キッチンツールは使い手の経験や器用さ、ライフスタイルなどによって、使いやすさの感覚が違う。テレビやウェブマガジンなどで使い勝手を検証する企画は多いが、「○○さんがいいと言っていたのに、使えない!」「○○でダメと書いていたけれど、自分は使いやすい」と思う台所の担い手はいる。今回もそうした企画の一つだが、私自身が不器用なこともあり、公平さを期したつもりでも判断が偏る可能性があることはご了承いただきたい。

「さすがの機能」がついているピーラーはどれ?
筆者撮影
「さすがの機能」がついているピーラーはどれ?

さて、私はここ30年ほどオールステンレスで長さ10センチあまり、ジャガイモの芽取りがついたピーラーを、近所のスーパーで購入し使ってきた。だいたい数年で切れ味が悪くなるので買い替えている。

実家では、戦中生まれの母が子どもの頃に干し柿作りで重宝したと愛用していた、柄が木製で刃の幅が広い「皮むき器」を使っていた。しかし、野菜の皮が分厚く剥け過ぎるように感じていたので、私は実家を出てから見つけた、皮が薄く剥けるオールステンレス製を愛用してきた。しかし、ピーラーは進化を続け、今はさまざまなタイプが市場に投入されている。

ここ数年は、回転式ストレート刃のパール金属の製品を使っている。他の製品はより使いやすいのか、それとも使いにくいのか。検証に当たり、タイプの異なる製品を選んでみた。

各社のピーラーはどこが違うのか

まず、ニトリで売られていた同社製「3WAYピーラー」、キッチン用品専門店で見つけた、ドリームファーム社製、縦型ピーラーで砥石を内蔵する「Sharple」。こちらは人気のレストラン「sio」オーナー、鳥羽周作シェフとコラボした製品。それから、アマゾンで見つけた、「本格的な調理」ができると謳う下村工業製の「プログレード 快速ピーラー」だ。下村工業は、プロが愛用する製品を扱う刃物メーカーである。

ニトリ「1つで3役 3WAYピーラー」299円
筆者撮影
ニトリの刃が3種類ついた「3WAYピーラー」299円

ニトリは、宣伝文句通り「お値段以上」の生活用品が多いので、新生活を始めるにあたり、一通り買い揃える人も多そうだ。皮剥き用のほか、千切り用の刃、薄皮剥きの刃と3枚刃の製品だが、残り2組の刃が視界に入るため、皮を剥こうとする野菜が見えづらい。切れ味は可もなく不可もなくといった手応えで、最初にこれを使う人は、それなりに満足しそうだ。

薄皮剥き用の刃でトマトの皮を剥く写真、千切り用でキャベツを切る写真がパッケージにあるが、肝心の刃の部分が見えづらい。トマトを細かいギザギザの刃で剥くと、1センチほどでピーラーが滑った。ギザギザが大きい刃は、皮の表面をなでるだけだ。

オーストラリアのドリームファーム社「Sharple」(砥石内蔵)
筆者撮影
ドリームファーム社「Sharple」(砥石内蔵)2750円

ペンのような形のSharpleは、包丁と持ち方が似ている。砥石つきは一生ものと言えるかもしれない。使いこなせば、パッケージに掲載された鳥羽シェフの「実はこのペンシル型は使いやすいんですよね」「根菜の皮剥きに便利」といった言葉に共感できるのだろうか。しかし、切れ味はすでに数年使ってきたパール金属製と同じか若干劣る。

※参考価格を記載しています