【田原】そこが面白い。人に感激してもらいたいからやるのではなく、自分の喜びのために社会を変えるということですか。
【慎】はい。大学時代、学校に来てなくて留年しそうな友人に「学校行こうぜ」といったら、逆切れされて頭突きをくらい、歯が折れました。彼は結局中退しましたが、その経験は信念について考えるきっかけをくれました。相手から感謝されるかどうかを気にしていたら、自分が正しいと思ったことができなくなる。誰も評価してくれなくても、自分がやりたいと思ったことや、いいと思ったことをとことんやる。そう心がけています。
【田原】これからのことも聞かせてください。いまと同じように、金融の仕事とNPOを続けていくのですか。
【慎】じつはいま起業の準備をしています。ファンドをつくって、30年以内に世界銀行のようなものに育てることが目標です。
【田原】世界銀行!? というと、発展途上国の政府や公的機関に投資するのですか。
【慎】世界中の途上国が対象ですが、投資先は国ではなくて民間を考えています。ウェブサイトはまだですが、もう会社自体はできていて、社名を「五常(ごじょう)」といいます。江戸時代、二宮金次郎が農村復興のために「五常講」という金融の仕組みをつくったのですが、それにあやかりました。
【田原】ゆくゆくは世界銀行レベルに育てるとなると、いままでの活動と桁が違うお金が必要になりますね。簡単にできるとは思わないけど、何年後に慎さんに会うと形になっているかな。