【田原】変えるにはどうすればいい?

【慎】いまクレジットカードで月1000円からお金を出してくれる人を募って、そのお金をもとに児童養護施設を新しくつくり替えています。新しくつくり替えると7割の補助金が出て、職員の人数も増やせます。

【田原】これは出資じゃなく募金ですか。

【慎】はい。世の中はよくできていて、きちんと情報が届けば自分で自分たちの悪いところを変えていく力があると思っています。ただ、いまは施設の子どもたちの声なき声が社会に届いていません。だからお金を集めるだけでなく、募金活動を通して社会へのPRにもなればいいと思っています。

【田原】すそ野を広げないと社会は変えられない。どれくらい集めたの?

【慎】いまは400人くらいの人の寄付で、毎月約80万円集まっています。でも、400人でようやく1つの施設をつくり替えられる程度なので、もっと人を増やしたいです。この問題を知れば寄付してくれる人はけっこういると思うのですが……。

【田原】政治的なアプローチはどうですか。病児保育をやっているフローレンスの駒崎弘樹さんは、そのあたりを戦略的にやっています。

【慎】どこかのタイミングで、アドボカシー(政策提言)の活動もしていこうと考えています。これまでの寮のような施設と違って、一軒家に子どもたち5~6人が職員さんと一緒に住むグループホームという新しいモデルで実績をつくって、行政や政治家のみなさんにも提案ができたらいいなと。ただ、子どもたちには選挙権がないし、そこに子どもを預ける親御さんたちも政治には無関心。児童養護施設は票になりにくいので、そこをどうクリアしていくのかが課題です。