長きにわたる仕事人生の中で、成果を出し続けるには何をすればいいか。相撲ライターの西尾克洋さんは「キャリアを重ねると、若いころのように働けなくなり、時代のトレンドも変わる。それでも勝利にこだわるには、全身にケガを負いながらも、賛否を呼ぶ取り口に転じた白鵬のエピソードが学びになる」という――。
※本稿は、西尾克洋『ビジネスに効く相撲論』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
ビジネスの場を「土俵」と思え
私たちはビジネスシーンにおいて、得意とはいえない分野や人と対峙し、自分の立場や主張を表明しなければならないこともあります。いつも周りが理解者や勝手知ったるフィールド、というわけにはいかないのが難しいところです。
力士もこのような状況に遭遇することがあります。
「土俵に立てば歳もキャリアも関係ない」と話す関係者は多いのですが、完全にフラットな状態で臨めるかというとそうでもありません。
格上の力士と戦うときはその最たるものです。
たとえば立ち合いの仕切りでは、格上力士の間合いで進んでしまうことが散見されます。
キャリアに差があると相手力士に先に手をつかせて、格上のほうが自分の呼吸と間合いに持ち込むケースも多く見られます。
こうなると格下力士は格上に吸い込まれ、自分の相撲を取れません。
そうならないためにも、本場所で対戦の可能性がある力士のクセを事前につかんでおき、巡業などの稽古の場で前もって体感しておくことも大事です。
また、相手に慣れておけばメンタルの面で気圧されるということもいくばくかは防げるのではと思います。
本場所で面食らう前に相手の手の内を知っておき、そして体感しておくことで、少しでもアウェイになる部分を減らしておくのです。
強い力士は、初めての対戦相手との取組前は出稽古(ほかの部屋に赴いて稽古すること)をして、相手の技術を丸裸にすることもあると聞きます。

