●負の感情に陥らない(幸福の条件2)
次に第2の条件である「負の感情に陥りにくい思考特性」について考えてみよう。
最初に確認しておかねばならないのは、負の感情といってもいろいろあり、「陥りやすい思考特性」にもいろいろあるということだ。怒り・嫉妬・悲観・後悔・不安などが代表的な負の感情というべきものであるが、その生じるかたちは一様ではない。以下、それぞれの感情ごとに、発生させる「思考のかたち」を見てみることにしよう。
まずは「怒り」。この負の感情は、その人があらかじめ「当然だ」と考えていたことが否定されたときに生じる。
「知人に挨拶をしたのに無視をされた」のように、本人が「かくあるべし」と思っていたことが裏切られたときに生じる感情であり、その特性からして、「物事はこうあるべきだ」と決めつける傾向の強い人ほど、強く感じることが必然となる。
「嫉妬」は、他人と自分とを比較し、相手のほうが優位(自分が劣位)にあると感じたときに生じる、相手への敵意を含んだ悪感情である(相手によって自分は危害を加えられているという感覚が根底にはある)。
嫉妬を生むのは、他人と自分を比較し、優劣を明確にしないと気が済まないという、凝り固まった思考様式である。それに物事がうまくいかない理由を他人のせいにしようとする無意識が加わったとき、増幅されると考えられる。