当時の石原都政が打ち出した「首都公務員」の発想から、財政困窮化の最先端である夕張市に職員派遣が行われたこと。たまたま派遣要員に選ばれ、1年勤務の予定を志願して2年に伸ばしたこと。その中で絆を深めた仲間たちから、地元再生の夢を託され、勝てる見込みの少なかった市長選に「出てほしい」と懇請されたこと……。
「夕張の姿は未来の日本の姿」
今につながるこうした出来事に加え、鈴木自身の生い立ちや、学生時代についてつづられている。
結びに近いところに、講演を聞いた高校生から「政治に興味をもつにはどうしたらいいですか」と質問を受けたエピソードが出てくる。鈴木の答えは「今やっていることを一生懸命、頑張ってください」。なぜか?
「スポーツでもボランティア活動でも、一生懸命に取り組んでいれば何らかの不都合や理不尽にぶつかります。それを解決するにはどうすればいいか。1人で行動したり仲間と力を合わせたりするでしょうが、そのことが政治につながるのです」
2月9日。こう語る鈴木の姿は豪雪の福島・裏磐梯猫魔ホテルにあった。200人を超える各界の若手リーダーが交流する勉強会「G1サミット」に招かれたのだ。鈴木が見つめる壇上には、衆議院議員の小泉進次郎やライフネット生命副社長・岩瀬大輔の姿があった。千葉市長の熊谷俊人ら若手首長たちも壇上に熱心な視線を送っている。
鈴木がいうとおり「夕張の姿は未来の日本の姿」だろう。不都合や理不尽をどう解決するか。若い力が、動き始めている。