▼坂之上洋子さんからのアドバイス

私は米国の大学を卒業後、建築デザイナーになり、その後ITベンチャーに転職しました。そして、ウェブのブランディング会社を起業。その会社を売却して中国に渡り、いまは日本で戦略のアドバイザーの仕事をすると同時に、エッセイや恋愛の本を執筆しています。このプロフィールからは、何の一貫性もなく生きているように見えるかもしれませんが、私にとってはちゃんと軸があるのです。私の基準は、いま自分が楽しいかどうか、幸せかどうかです。常にその価値基準をものさしに働く場を選択してきました。

図を拡大
どこで働くかだけでなく、誰と働くか意識

ただし、その際に気にかけて実行していることがあります。それは、そこに行ったときに、どうやって食べていくかをきちんと考えることです。たとえば、経験ゼロのIT業界に転職したかったときは、翻訳をマネージするポジションで入れてもらいました。それであれば、自分にもできると思ったからです。入社してからさまざまなことを吸収し、最終的にはマーケティングの副社長になりました。

次のステージ、とくに別の分野で活躍するのは難しいと思われがちですが、お金のことを考えて、これなら最低限困らないという自信があれば、飛び込む勇気を持って、大胆にリスクをとる。そういうバランス感覚のあるステップアップをやれるかどうかが、胆だと思います。

誰と付き合うかを意識することも重要だと感じます。学生のころ、CNNの番組で“Look at your closest 8 friends,they are who you are.(あなたの一番近い友人8人を思い浮かべてください。彼らがじつは「あなた」なのです)”という言葉が流れてきて、衝撃を受けたことがありました。人生は友人の存在で大きく左右されます。しかし当時、私は身近に偶然にいた友人となんとなく楽しんでいただけで、意識して友人を選ぶということをしていませんでした。

いまは、社会全体をよくしようという「公」の精神を持つ人たちと時間を過ごしたいとはっきりと意識しています。それが私にとって一番わくわくして楽しく、また人の役に立つ取り組みができるかもしれないと考えるだけで、自分が幸せな気持ちになれるからです。

坂之上洋子
米国と北京で15年以上生活後、東京へ。ブランド戦略、企業の経営戦略、NPO戦略等多方面で活躍中。建築デザイナーとしての受賞歴を持ち、「Newsweek」の世界が認めた日本女性100人の1人。著書に、人気のtweetを集めた『結婚のずっと前』。