なぜ、楽観回路が助けになるのだろうか。生きることは、不確実性に満ちている。どうなるかわからない際に、悲観的では、行動することができない。あまりにも不安や恐怖が強い場合には、「フリージング」と呼ばれる、脳の働きが停止してしまう状態さえある。

生きるうえでは不確実性が避けられないから、悲観しているばかりでは、リスクをとることができない。思わぬ発見や、偶然の幸運(セレンディピティ)に出合うこともできない。だからこそ、脳は楽観的になる必要がある。

成功するために大切なのは、「根拠のない自信」と、「それを裏付ける努力」。自信を持つのに、根拠などいらない。できると最初からわかっているのならば、あえてチャレンジする意味もない。

すべてのイノベーションの出発は、「できる」という「根拠のない自信」を持つ点にあるのだ。

できるかどうかわからないことに挑戦してこそ、創業者利益も得られる。できるとわかっていることをやっても、それほどの収穫を得られない。これは、経済の鉄則だ。

感情や気分を生み出す脳の古い部位は、理性を司る脳の新しい部位よりも、むしろ先をいく。まずは感情が生まれて、それを理性が整理し、追随するのだ。

「前例がないから」と新しいことに挑戦しないのは、結局は、理屈ではなくやりたくないからだし、成功するかどうかわからなくても前進するのは、とにかくそうしたいからである。

分析が先に立ってはいけない。まずは、感情のインフラがなくてはならない。だからこそ、脳は楽観的であるのがいい。もちろん、実際にリスクをとるときには、いろいろ工夫したり、考えなければならないのだけれども。

自分の人生の成長戦略を考えよう。根拠のない自信を持って、それを裏付ける努力を尽くそう。楽観的に行動してこそ、人生は面白くなる。

(写真=AP/アフロ)
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