同じ営業でも、拡散性因子が高い人は、新規開拓営業だと強みを活かすことができ、ユーストレス状態を維持できますが、保全性因子が高い人にとっては苦手なのでディストレス状態になります。保全性因子が強い人なら、既存顧客の対応を行うルートセールスのほうが力を発揮できるでしょう。逆に拡散性因子が高い人にとっては、毎日同じ営業先に出向くルートセールスは苦痛になります。

人は、自分と違う因子が高くて「自分と違うタイプだ」と感じる相手を、否定的に見る傾向があります。保全性因子が高い人は、いろいろなことに興味を持つ拡散性因子が高い人のことを「飽きっぽい」ととらえますし、受容性因子が高い人は、凝縮性因子が高い人に対して「融通が効かない、頑固者だ」ととらえる。しかし、人間には本当は、悪い人はいないし、能力の高い低いもありません。

ユーストレス状態にあって指導力を発揮しているときの凝縮性因子が高い人に会うのと、ディストレス状態で独善的になっているときに会うのでは、印象が大きく変わります。しかしこれは、個性の良い部分を活かすことができる環境にあるかどうかの違いでしかないのです。

一般的に言われる「成功者」の手法をやみくもにまねて努力をするのはやめたほうがいいでしょう。その「成功者」とあなた自身の持つ因子がまったく違っていたら、自分の苦手な方向で、無駄につらい努力をすることにもなりかねないからです。そしてディストレス状態になり、自分の因子の負の部分を表出させてしまうことになってしまいます。まずは自分を知り、自分と似たタイプの成功者の成功事例を探して参考にすべきでしょう。

自分が得意とすること、好きなことを活かすユーストレスな環境をどうつくり、維持するかがポイントです。こうした“勝ちパターン”を早期発見することが、成功の秘訣なのです。

(構成=大井明子)
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