イヤなことをやってはいけない

誰でも、それぞれに強みがあります。強みがない人間は1人もいません。しかし、その強みが否定されたり、自分の能力を発揮するチャンスを失ったときに、持っている因子がネガティブな方向に出てしまうのです。

ストレスが加わることによって、変数と変数同士の人間関係に変化が起こり、時にはこじれることもあります。人間関係においてストレスマネジメントが大事なのはこういった理由からです。まず、自分の個性を知って自分のストレスをマネジメントする。一見難しく聞こえるかもしれませんが、実はとてもシンプルで、「イヤなことをやらない」こと。言葉を変えると、「不得意を克服するよりも、得意を強化する」。これに尽きます。

自分の持つ因子のプラスの面が発揮できるようなユーストレス状態をつくることを心がけるのです。そうすれば、自然と成果が出ます。つらい努力をする必要もなく褒められ、自信につながります。

反対に、自分の強みではないものを求めて「ないものねだり」をすると、つらい努力が必要なので楽しくない。例えば、拡散性因子の高い人が、コツコツと同じことを根気よく続けることが必要な仕事をしていても、途中で飽きて続かなかったり、ミスが発生したりするでしょう。楽しめないうえ成果にもつながらず、褒められない。本人は努力しているのに、周りからは評価されないという悲惨な状態に陥ります。自信を喪失し、ディストレス状態になってしまいます。

世の中には、自分の強みを活かし、つらい努力をしないで成功している人が2割、「ないものねだり」で弱みを克服しようとしてストレスを溜めている人が2割いて、残りの6割はそのどちらでもなく、環境に影響されながら成功と失敗を繰り返しています。

そんな大多数の人々がやるべき「イヤなことをやらない」ことは、難しく思えるかもしれませんが、そうでもありません。チームの中の役割分担を、自分の強みに合ったものに変えてもらうのもよいでしょうし、ユーストレス状態になれる部署に異動願を出すのも方法です。