受容性因子が強い人がディストレス状態に置かれると、「思いやり」が「介入的」に変わります。いつも周りに頼られ、いろいろなことをお願いされていた人が、誰も何も頼みにこなくなってしまうと、この人は自分の「思いやり」を発揮できる場をなくしてしまい、ディストレス状態に置かれることになります。

すると、どんどん介入的になってお節介を焼くようになり、厄介ごとを抱えるようになるのです。「相手のために何かしたい」という気持ちが強くなりすぎ、相手に断られても、あるいは自分にできる範囲を超えてまでも、自分に何かできないかと、しつこく、過剰に関与したがります。そうして、他人の問題や仕事を抱え込んでしまうのです。

拡散性因子が高い「攻めの人」が、思うように動けず不自由、窮屈、と感じるディストレス状態になると、「衝動的」という負の特性が表面に出やすくなります。突然何もかも放り出して出て行ってしまったり、周りに当たり散らしたりと、破壊的で享楽的な行動に出ます。もともと1つのことを長く続けられない傾向が強いため、マンネリ化した状況に飽きると、すべてをガラリと変えるために大胆で投げやりな行動をとってしまうのです。

一方、保全性因子が高い人がディストレス状態に置かれると、「追随的」という負の特性が表れ、妥協的、従属的な行動として出てきます。人任せ、事なかれ主義になります。保全性因子が高い人は、気心知れた仲間から外されて新しい環境に放り込まれると、それ自体がディストレスになる傾向があります。慎重なので、新しい環境になじむまでに時間がかかり、新しいアイデアやスピードを求められる状況では身動きがとりにくくなり、結局動けずに出遅れてしまうことも多いでしょう。仲間から外されて、最初はいじけることもあるでしょうし、悪化すれば陰湿ないじめや、脅迫文書を送りつけたりということにまでつながります。恋愛がうまくいかない場合にはストーカーになったりします。