第1に、失敗の経験が足りない人。これは実力がないのとほぼイコールです。

ビジネスの実力を何で測るかと問われたら、私は「過去に経験した失敗の量と質」と答えます。いい失敗をたくさん経験した人は実力があります。

私は酒の席で社員たちに「これまで何回フラれたことがある?」と尋ねます。恋愛でも失恋経験が多いほうが、考えが深くなり、次は成功する可能性が高いでしょう。

本当は20代、30代で失敗を数多く経験しておくべきですが、40代からでも手遅れではありません。会社が倒産するほど致命的な失敗は困りますが、数億円を損するぐらいはいい経験です。

私は4月の入社式で「当社では、前向きなチャレンジで会社にたくさん迷惑をかけた順に出世させる」と話すくらいです。

次に、ただ真面目なタイプというのも幹部には不向きです。部下に対してキャパシティーが小さく、他人に騙されやすいところがあるからです。むしろ、他人を騙した経験のあるほうがいい。それだけ知恵が働くわけですから。当社には、元暴走族など若い頃にやんちゃだった連中がいます。昔は悪知恵ばかり働かせていたのでしょうが、その知恵をよい方向に発揮したときにビジネスは成功します。

やたらと威張る人も、幹部にしません。部下を呼び捨てにし、偉そうに命令するのは、実力がないことの裏返しです。優れた管理職は、部下への指示も丁寧だし、酒を飲んで説教などしません。むしろ褒め上手、おだて上手です。

ボーナス全額を妻に渡す人は出世しない!

要は人望があり、部下が本気で働いてくれるようなタイプでなければ幹部にしません。その意味では、ボーナスを丸ごと奥さんに手渡すような社員も要注意です。

誰のおかげでボーナスをもらえたかといえば、部下が一生懸命に働いてくれたからです。自分ひとりの手柄にせず、飲み会を開くなど少しは還元すべきでしょう。