最も重要なことは「アイカンパニーは○○する会社」と明確に打ち出すことです。どんな看板を掲げ、どう認知されたいのか――それが自分のアイデンティティです。そこからアイカンパニーを優良企業、人気企業に育てる努力がはじまります。

40代前半はちょうど人生の中間地点。後半戦に向けて、自分のバリューを高めていく戦略を立てるのです。まず、アイカンパニーの会社方針をつくりましょう。3年後、5年後のビジョンを描き、そのときに売り上げや利益はどうなっているか……。考えをめぐらすことは、自分のキャリアプランにも役立ちます。

アイカンパニーを設立したら、勤めている会社への依存心は小さくなります。「この組織は、アイカンパニーを登記している場所にすぎない」と割り切っていたら、万が一リストラ宣告されてもショックが少なくなるはずです。

会社への依存心が小さくなれば、職場の風景もこれまでと違って見えてきます。同僚はお互いに提携し協業している別のアイカンパニーだと考えられるでしょう。

もし40代前半で出世が遅れていたら、同期入社のアイカンパニーに比べ売り上げも権限も小さいわけです。その原因は何かと考えるとき、「上司の評価がおかしい」と責任転嫁するのは、商品力のない会社が「客は見る目がない」とぼやくのと一緒です。

アイカンパニーを立て直すためには、上司や先輩に、出世が遅れている理由を率直に尋ねてもいいでしょう。自社の強み・弱みを知るマーケティング調査だと思えば、苦言も素直に聞けるはずです。

視点の転換も、部下のモチベーションアップも、すべては自分のアイカンパニーを発展させるため、と頑張ることができるのです。

リンクアンドモチベーション社長 小笹芳央
早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。2000年、同社設立、代表就任。著書に『変化を生み出すモチベーション・マネジメント』など。
(構成=伊田欣司 撮影=上飯坂 真)
関連記事
20~30代:雑巾がけも楽しくなる「ポジティブ心理資本」とは
アラフォー転職で「給料が上がる人」の法則
40代、特技なし。波風立てず会社にしがみつくには
結局、40代をどうすごせば社長になれるのか
捨てる習慣:20代は先入観、40代は私欲、50代は手柄