さらに同社は新規事業のカーシェアリングサービス「タイムズプラス」も好調だ。ITではクラウドサービスが一般的になってきたように、「所有から利用へ」が現在の流れ。車も自分で所有するのでなく、好きなときに時間借りできるカーシェアリングが普及しつつある。タイムズプラスの会員数は12年4月に10万人を突破。「いよいよ黒字化が見込めるところまできた」(レオス・キャピタルワークス取締役CIO 藤野英人氏)という。
●中高年女性がカラオケに集う理由
無料だったものに付加価値をつけて有料化するという点では、コシダカホールディングスも面白い。同社はカラオケ事業の「カラオケ本舗まねきねこ」とフィットネスFC「カーブス」で急成長。12年8月期は経常利益22.8%増だった。
「コシダカが提供しているのはカラオケやフィットネスというより、井戸端会議ができる場です。地方に住む40~60代の女性は、気軽に集まれる場所がない。そこで持ち込み自由で茶飲み話ができる場としてカラオケルームを提供して成功した。そのモデルを都会にあてはめたのが、女性専用フィットネス。女性専用なら化粧崩れも気にせず世間話に花を咲かせられる。どちらも主婦層に人気です」(藤野氏)
カラオケやフィットネスに集まる人たちは、歌いたくて、あるいは運動したくてやってくるとは限らないようだ。本当の目的は友達と世間話をすることで、カラオケや運動は人が集まる場所や名目にすぎない、という人も多いのだ。
消費者が無料は当然と思っている分野には、ビジネスチャンスもないと考えられがちだ。しかし、もし、有料化に成功したときには、その先行者利益は大きいといえる。