ユーモアは、そう簡単に身につくものではない。「ユーモアは1日にして成らず」だ。お笑い芸人の方々を見るとわかるが、プロとして成功するほうが、東大に入るより難しいのではないだろうか。

だからといって、眉間にしわを寄せて目を吊り上げて訓練すればいいというものではないのが難しいところだ。まずはユーモアの重要性を認識し、普段から意識して日常会話に取り入れるようにすることが大切だろう。

私は寝る前にベッドサイドでパソコンを開き、イギリスのコメディを見るのが日課になっている。イギリスのコメディアンの多くは、有名大学を出たインテリ。

「『知性』イコール『ユーモア』」なのだ。彼らの魅力は、自分たちの欠点をネタに変えるテクニックに優れていること。

こうした高度なユーモアは非常に勉強になり、自分のセンスも鍛えられる。

忙しければ忙しいほど、疲れていれば疲れているほど見たくなる。いくら疲れて帰ってきても、コメディを見て笑うとリセットできる。リラックスしてゆっくり休めるのだ。

脳科学者 
茂木健一郎 

「クオリア」をキーワードに、脳と心の関係を探求し続けている。『笑う脳』(アスキー新書)など著書多数。
(構成=大井明子 撮影=向井 渉)
関連記事
あなたの話がつまらない4つの理由
人に好かれる「嫌いなクセ、欠点」逆転の活用法 -土屋賢二
心理学が解明「大笑いすると、創造力が3倍になる」
掃除の習慣:「毎日10秒」が断ち切る、負けのサイクル
解明! 運がない人は、なぜ運がないのか