ウクライナ戦争では「停戦交渉」が進むか
ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ氏の電話会談はスペースXのスターリンクが使われ、マスク氏も同席した。11月8日付のワシントン・ポストの記事「イーロン・マスクがトランプとウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談へ参加」には、ウクライナの戦場でスターリンクがどのように使われているかが詳しく書かれている。
ウクライナは、前線部隊間の安全な通信を提供し、インターネットアクセスが不安定または存在しない可能性のある司令センターで戦場を常時監視できるようにするために、スターリンクに大きく依存している。
ウクライナの最前線には、ロシアのドローンに探知されないように迷彩色にスプレー塗装された数万台のスターリンク装置が点在し、兵士の車両の屋根に取り付けられていることも多い。
また、兵士は携帯電話を機内モードにしてインターネットを利用できるため、携帯電話の電波塔からの通信音を通じてロシア軍がウクライナの位置を察知する可能性は低くなる。スターリンクサービスは2022年に戦争が始まった後、当初はウクライナに無料で提供されていたが、マスク氏は後にサービスを完全に停止すると脅した。その後、マスク氏はウクライナのシステム使用料を国防総省に請求した。
ウクライナ軍によると、ロシアではスターリンクが禁止されているにもかかわらず、ロシア軍は端末をいくつか入手し、戦場での前進を加速させている。広大な領土を支配しているロシアのクルスク地域で活動するウクライナ軍は、衛星インターネットが切断される脅威を身をもって体験している。兵士らによると、彼らは一貫した通信手段がない状態で作戦行動を習得する必要があり、スターリンクに自分たちがまだウクライナにいると思わせることができる地域で陣地を確保した。
事情に詳しい人々によると、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の電話会談は友好的なものだったが、トランプ大統領就任が戦争努力にどのような影響を与えるかについてキエフが不安を抱いている時期に行われた。
トランプ氏とマスク氏はウクライナ戦争に対しては同じ意見で、停戦すべきだと言っている。そのため、トランプ氏の大統領就任に伴い、停戦交渉が早期に進む可能性はかなり高いと思われる。
その際にはロシアへの譲歩的な提案がなされるだろう。現状ではロシアが今回の侵攻で併合したウクライナ東部・南部4州の現状維持と、ウクライナのNATOの加盟凍結が提示されると言われている。