軌道修正しなければ、長期の停滞は避けられない

一方、中国経済の最大の問題である、需要不足の解消に関する直接的な方策は見当たらない。大型のバブルが崩壊すると、債務問題を抱える企業・金融機関に公的資金を迅速に注入する必要性は高まる。それによって、不良債権の処理を進め金融システム不安を食い止める。その上で、規制緩和などを実行して、成長期待の高い分野へのヒト、モノ、カネの再配分促進と景気の持続的な回復が不可欠だ。

今後、景況感が一段と悪化すると、中国政府は企業の投資増加に加え、マンション在庫の買い入れ枠の拡大、高速鉄道などのインフラ投資も積み増す可能性が高い。中国政府が供給能力の向上に取り組んだ結果、生産能力の過剰感は一段と進み値下げ競争は激化するだろう。デフレ環境は深刻化し、大手国有企業の粗利率低下リスクは高まると予想される。

その結果、業績の悪化懸念は高まり、デフォルトリスクが上昇する企業は増加する可能性は高い。チェンミン・グループのデフォルトの発表は、不動産バブル崩壊をきっかけに、国有・国営企業の業況が悪化し始めていることを示している。需要不足が深刻な中で政府が国有・国営企業を重視した政策を修正しない場合、中国経済の長期停滞懸念はさらに高まることが予想される。

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