セブンが外資に買収されたらどうなる?

11月13日、セブン&アイ・ホールディングス(セブン)は、同社の創業家である伊藤家から法的な拘束力のない買収提案を受領したと発表した。創業家出身の伊藤順朗氏は、現在、同社の代表取締役副社長を務めている。経営陣が参加する買収=MBO(マネジメント・バイアウト)で、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタール社による買収を阻止したいというのが主な狙いとみられる。

記者会見するセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(右)と伊藤順朗取締役常務執行委員=2018年4月5日、東京都千代田区
写真提供=共同通信社
記者会見するセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(右)と伊藤順朗取締役常務執行委員=2018年4月5日、東京都千代田区

コンビニやスーパーは重要な物流拠点であり、一般庶民にとってなくてはならない社会インフラの一つだ。その重要インフラが海外企業によって経営され、将来、効率性の観点から店舗数が大きく減らされることになると、私たちの生活にもマイナスの影響が出ることが懸念される。その必要不可欠な社会インフラを、セブン経営陣は日本企業として提供し続ける意志を示したと言えるかもしれない。

日本企業、金融機関、買収仲介業者も注目

ただ、今回、創業家から提案されたMBOが、うまく実行できるかは不透明な部分がある。MBO規模は出資と銀行融資を合わせ、9兆円に達するといわれている。金額が大きくなるため、出資する企業や融資を依頼される金融機関はかなり慎重な対応になるだろう。また、コンビニ業界の寡占化などの問題もありそうだ。公正取引委員会がMBOに待ったをかける可能性もある。

今後、MBO提案がどう進むかは、わが国企業のM&A戦略にかなりの影響を与えることも想定される。米国では、トランプ大統領が規制緩和を進めるとみられ、企業の買収が増えるとの観測が浮上しているようだ。内外問わず、買収案件は増えるだろう。今回の事例は、わが国の企業、金融機関、買収の仲介などを行う企業にとって重要な参考事例になるはずだ。