激安サイト「Temu」すら伸び悩むほど

同日、格安ネット通販サイトを運営する“Temu(テム)”の親会社、PDDホールディングスも決算を発表した。売り上げ、最終利益とも、株式アナリストの予想を下回った。低価格帯の商品ですら、消費者の買い控え心理が高まっていることが明確になった。

不動産バブル崩壊の処理の遅れで個人消費が下振れると、中国全体で企業業績は悪化することになる。生産コストや債務の支払い負担は上昇し、人員を削減する企業は増えるだろう。それに伴い、中国では労使の対立が増加傾向のようだ。労働問題を扱う非政府組織の“中国労工通報(CLB、在香港)”によると、2024年1~6月期に発生した労使対立は719件、前年同期の696件から増加した。

一部の報道によると、11月後半、上海市で資金繰りが悪化し、リストラを実施しようとした自動車関連企業で労使の対立が発生した。一部の従業員は、公道でデモを行い、警察が出動したようだ。EV分野は政府の補助金支給で販売が増えているが、サプライチェーン全体で収益の下振れ懸念が高まっているとみられる。

政府は「投資増→雇用増→内需増」を狙うが…

労使の対立が先鋭化すると、中国にある企業はベトナムなど海外への進出を重視せざるを得なくなるだろう。米国の対中関税率引き上げの対応策で、中国での地産地消体制の確立を目指す海外企業にとっても労使対立の激化は無視できないマイナス要因だ。

2025年、中国政府は経済成長率目標を、2024年と同じ5%前後に設定しようとしている。7月、3中全会の後に国有資産監督管理委員会(国資委)は、大手の国有企業97社が今後5年間に3兆元(約60兆円)以上の設備投資を行う予定であると発表した。

中国政府が期待する重要な効果は、大手の国有企業などが設備投資を行い、生産能力を拡張することにある。半導体など先端分野で、米中対立の先鋭化に対応するため、素材から工作機械などの供給網も整備する。投資が増えれば雇用も促進し内需は上向く。そうした効果を期待して、中国政府は過剰生産能力を抱える国有企業などの投資増加を重視しているのだろう。

中国・西安
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