気になる記事があった時だけ全部読めばいい
【高井】ネットメディアはトラフィックが命なので、人間の弱いところを突いてくる。好奇心とか嫉妬とか怒りとか、感情を操作して、情報を追いかけたくなる意識を利用する。たとえ時間の無駄だとわかっていても、アプリを開いてしまえば、なかなかあらがえない。
正直に言うと、日経新聞でも、電子版の見出しには、若干、その気があります。検索で見てもらいやすいようにキーワードを盛りこむ、みたいなこともある。紙の新聞の方が、その点かなり抑制的に作ってあるので弊害が少ない。
【新倉】そうですね。こちらの感情を無駄に煽らないようにしていると感じました。
【高井】だから面白くないんだ、という意見もあるかもしれないけど、感情的なリソースをもっていかれないから、読んでも疲れないんです。最低、前文だけ読めばいいわけだから、Xのポスト1本分程度でしょ。気になる記事があった時だけ全部読めばいい。「うなぎ」とかそうだったでしょ?
【新倉】たしかに、「うなぎ」は気になって読んでしまった。
【高井】仮におふたりがいい歳したビジネスパーソンだとして、その記事を読んでれば、しばらく飲み会の話題に困らないよね(笑) 「うなぎの稚魚がねぇ……」って。
【布施川】すでにこのミーティングで「うなぎ」はメッチャこすってますよね(笑)
実はかなりコスパがいい
【新倉】そういえば私、「気候変動でリンゴやオレンジが作れなくなる」って記事を読んでから、何かの会話で「青森でリンゴ作れなくなるかも」って話しました!
【高井】連続テレビ小説的には、カカオ豆の一連の物語も、よかったよねぇ(笑)
【布施川】そうそう! 「あ、価格落ちたんだ!」ってなりました(笑)
【新倉】布施川さんが以前、カカオ豆の不作の話で盛り上がってたの、よく覚えています(笑)
【高井】これも30日間ずっと読んでたから面白いんですよね。「カカオ、メチャクチャ上がってる~」から、「うわ~! バブルはじけたぞ~」みたいにオチが付いたから、面白い。情報を追っていれば興味深く読めるし、「こんなことが起きてるんだよ」ってウンチクを傾けられる。
【高井】さて、30日間読んでみて、コスパ的にはどうでしたか。
【布施川】1カ月で6000円。それでこれだけの情報が得られるなら安い。6000円って、マンガ10冊も買えばって金額ですよね。僕はマンガが趣味なのでそっちもアリだと思うけど、比較しても、かなりコスパのいい6000円の使い方ではないかと思いました。
1日10分で新聞を読むとして、30日で300分。5時間分の娯楽と、世間を渡っていく常識が手に入る。アリですね。